「暗合」「暗号」の意味と違い
「暗号」の同音異義語に「暗合」という言葉があります。「暗合」という言葉は「暗号」と比べ、あまりなじみがないかもしれませんが、意味を端的に表したい時に使用できる便利な言葉です。
また「暗合」と「暗号」は漢字も似ており、誤用することも多い言葉なので、それぞれの意味の違いと言葉の使い方について解説したいと思います。
「暗合」と「暗号」の意味や違い、使い方を理解して、ぜひ活用してみてください。
「暗合」
「暗合」という言葉は「偶然一致すること」「思いがけず物事が一致すること」という意味を持ちます。類義語としては、偶然、奇遇などがあります。
「この暗合に驚いた」は、「この偶然の一致に驚いた」という意味になります。また、ある出来事に関して故意なのか偶然一致したものなのかわからない場合、「これが故意なのか暗合なのかわからない」と表わすことができます。
また、「偶然一致する機会を狙う」というと少し長く感じられますが、「暗合を狙う」と表現すると、より端的に伝えることができます。
「暗合」の「合」は訓読みで「合う」と読み、「一致する」という意味も持ちます。「合う」の意味を理解していれば、「暗合」という言葉の意味が「偶然一致すること」と覚えやすいでしょう。
「暗合」は、上述のように便利な言葉ですが、なじみが薄く、「暗号」との漢字の誤用も多いので、しっかりと理解することが大切です。
「暗号」
「暗号」には、「当事者以外にはわからないように取り決めた特殊な符号や文字」「普通の文字や記号を当事者間にだけわかるように他の記号に置き換えたもの」という意味があります。
「暗号」の類義語としては「合い言葉」や「暗語」などがあり、「暗号」は「暗号を解く」「暗号を解読する」などのように使います。
「暗号」の「暗」は「はっきり外に見えない」「ひそかに」という意味を持ちます。「号」は「あいず」「しるし」という意味を持ちます。したがって「暗号」は「はっきり外に見えない、あいず」すなわち、「当事者以外にはわからないように取り決めた特殊な符号や文字」という意味になります。
ただ、「暗号」もなじみはある言葉ですが、専門的分野で使われることが多く、軍事的分野やパソコンのセキュリティーの分野では良く使われます。
このように、「暗合」と「暗号」はどちらも「暗」という漢字を使った熟語になりますが、意味が大きく異なり、「暗」という字の次の「合」「号」の字で意味の違いを理解し、漢字の誤用を防ぐことが大切です。
記事の参考文献
- 編 金田一京助 編集代表 深谷圭助(2015) 『例解学習 国語辞典』第十版 小学館
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月2日).
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編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
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編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店
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編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
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