「依託」「委託」の意味と違い

「依託」「委託」の意味と違い

「依託」「委託」の意味と違い

「依託」と「委託」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。他にも「史上・至上」や「保証・保障・補償」などがあります。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どの言葉を使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。

本記事では、「依託」と「委託」の意味や使い分けについて解説していきます。違いを理解し、ぜひ自信を持って使い分けられるようになりましょう。

「依託」

依託

「依託」は、「他の人に任せること」「他人にやってもらうこと」「もたせかけること」を意味します。預ける、託す、委ねる、頼むと表現することもできます。

「銃を台に依託する」「依託学生」「彼の経験と判断に依託されている」などのように使われます。

「依託」の「依」は訓読みで「よる」と読み、「よりかかる」「頼る」といった意味を持ちます。「託」は「頼む」「頼る」「預ける」「かこつける」といった意味を持つので「寄りかかって頼ること」、つまり「人にやってもらう」「人に任せる」という意味になります。

「依託」と「委託」はどちらも「人に頼る」「他者に任せる」という意味合いを持つ言葉ですが、使用される場面やニュアンスに違いがあります。

「依託」は「委託」と比較して、より「依存して頼り切っている」という意味合いが強くなり、個人間の信頼関係や特定の法的文脈で使われることが多くなります。

「委託」

委託

「委託」とは、「外部者や機関に特定の業務や役割、事務を任せること」「頼みゆだねること」を意味します。委任する、嘱託する、外注する、依頼すると表すこともできます。

「システム開発を外部のIT企業に委託する」「商品デザインを有名デザイナーに委託する」「マンションの管理について専門管理業者に委託する」などのように使います。

「委託」の「委」は訓読みで「ゆだねる」「まかせる」と読み、「自分ではしないで他人に頼む」「放っておく」という意味があります。「託」は上述のように「頼む」「頼る」「預ける」「かこつける」といった意味を持つので、「委託」は「頼みゆだねる」という意味になります。

「委託」の対義語として「受託」があり、「委託」は主にビジネスや契約の場面で使われ、法律的な契約に基づいて行う行為に対して使われます。

現代の日本語では、一般的に「委託」がより幅広く使用されており、新聞紙面では、「依託」という字は使われず「委託」に統一されているため、迷った場合は「委託」を使う方が無難です。

記事の参考文献

  • 編 藤堂明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年8月12日).
  • 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.

  • 編 新村出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店

  • 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.

  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.