「最後」「最期」の意味と違い
誰もが一度は直面したことがあるであろう「最後」と「最期」の使い分け問題。会話をするシーンでは、前後の文脈から言葉の意味を推測するので不便はありません。しかし文書を書く際に、どちらを使う方が適切なのか、使い分けに困った経験のある人もいるかもしれません。日常の様々なシーンでよく使う表現なので、正しい使い方を確認しておきましょう。
本記事では「最後」と「最期」の意味と違い、用例などを解説していきます。同じ「さいご」という読み方ですが、意味と使い方が若干異なるため、文脈に応じて使い分けることが大切です。ぜひマスターし、自信を持って使えるようになりましょう。
「最後」
「最後」は「ある事柄の一番終わり」「最終的なこと」「一番後ろ」を指す言葉です。「列の最後に並んだ」「映画の最後のシーンが感動的だった」「最後に一言お願いします」などのように使われます。
「最後」の「最」は訓読みで「もっとも」と読み、「もっとも」「一番」という意味を持ちます。「後」は訓読みで「うしろ」「あと」と読み、言葉どおり「うしろ」「のち」「あと」という意味を持ちます。したがって「最後」は「もっともあと」「一番後ろ」という意味を持ちます。
「最後」は一般的な文脈で使われ、下述する「最期」のような、特に限定された意味を持たず、物事や出来事の終わりを広く表現します。物事の終わりや順序の一番後ろを指す場合に使われます。
一方、同じ「さいご」という読みになりますが「最期」の方は、若干ニュアンスが異なります。
「最期」
「最期」は「人が亡くなる時の瞬間・状態」「死に際」「生命の終わり」を指す言葉です。「祖父の最期の言葉が忘れられない」「最期を看取る」「彼女は穏やかな最期を迎えた」などのように使われます。
「最期」の「最」は上述したとおり、「もっとも」「一番」という意味を持ちます。「期」は「区切られた一定の時間」「さだめられた時」という意味を持ちます。したがって「最期」は「命の終わり(区切り)の時間」という意味になります。
「最期」は死を迎える場面やその時の状況に使われる、より限定的で厳粛(げんしゅく)な表現になります。人の死に関連した場面や亡くなる直前を指す場面で使われます。
このように、「最後」「最期」はどちらも「おわり」というニュアンスを含む言葉ですが、日常的な場面で物事の終わりを客観的に表現したいときには「最後」、死や別れなどの場面で、感情的な意味合いを込めた表現をしたいときには「最期」と使い分けることができます。文脈によって適切に選択することが重要です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月11日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月11日).
コメントを残す