「好意」と「厚意」の意味と違い
「好意」と「厚意」は、いずれも「こうい」と読み、「相手に対する親切な気持ち」という共通点はありますが、それぞれの意味や使い方には微妙な違いがあります。
日常生活やビジネスシーンなどで多く使われていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「好意」と「厚意」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「好意」

「好意」は、「ある人を好ましいと思う気持ちのこと、また、親切な気持ち」という意味を持ちます。
「好意」の「好」は、「愛する」「好ましい」「優れている」の意味があり、「意」は、「心の中の思い」「気持ち」「考え」という意味があります。
したがって「好意」は、「好ましいと思う気持ち」すなわち「ある人を好ましいと思う気持ちのこと、また、親切な気持ち」という意味になります。
なお、「好意」の類義語は、「善意」「親切」「愛情」などが挙げられ、対義語として「悪意」「敵意」があり、「好意」は「彼女は彼に好意を抱いている」「私の提案に好意的な反応を示してくれた」「人の好意を無にする行動を慎むべきである」のように使われます。
「好意」とは、相手に親しみを覚えて好ましく思う気持ち、またその上でその人のためになるようなことを何かしたいと思う気持ちを意味し、一般的には友人や親しい人などに対する肯定的な感情を表します。
さらに「好意」は、親愛の気持ちが意味の中心にあり、相手に対する親愛の気持ちが前提で、それに基づいた行動をする場面などで使われます。
そして「好意」は、自分が抱いたり相手に抱かれたり、相互で用いることができます。
なお「好意を持つ」などのように、具体的な行動を伴っていない場合でも使うことができ、「好意・厚意を示す」や「好意・厚意に甘える」のように両方で使用できる場合は、通常は「好意」と表記されます。
「厚意」
「厚意」は、「ある人に対する思いやりの厚い気持ち」という意味を持ちます。
「厚意」の「厚」は、「手厚い」「ゆたか」「心づかいがねんごろ」の意味があり、「意」は上述のとおり「心の中の思い」「気持ち」「考え」という意味があります。
したがって「厚意」は、「心がこもっている気持ち」すなわち「ある人に対する思いやりの厚い気持ち」という意味になります。
なお「厚意」の類義語は、「厚情」「善意」「温情」などがあり、「厚意」は「皆様のご厚意に深く感謝申し上げます」「取引先の御厚意により、この企画を着手することができる」「上司の厚意に報いるため、成果を出したい」のように使われます。
「厚意」とは、他人が自分にする行為に表れる思いやりの気持ちのことで、「好意」のように親愛の気持ちの存在を前提とせず、行動を通じて感じられる思いやりに焦点を当てています。
また「厚意」は、相手のために実際に何か行動を起こしたり、配慮したりすることを指し、深い親切や温かい心遣い、相手に対する真心や誠意を強く感じさせる場面で使われます。
さらに「厚意」は、「好意」とは違い、相手の行動などに対して使う言葉で、親切心を他者に主張することは厚かましいため、自分の行為に対しては使いません。
思いやりや手助けを相手から受けた時に使う言葉なので注意が必要です。
なお、会社の上司やお世話になった人などに使う場面では、尊敬語をつけて「御厚意」の形で使うのが一般的です。
以上のように「好意」は、「ある人を好ましいと思う気持ちのこと、また、親切な気持ち」という意味を持ち、親愛の気持ちなどの「感情」を強調しています。
自分が抱いたり相手に抱かれたり、相互で用いることができます。
一方「厚意」は、「ある人に対する思いやりの厚い気持ち」という意味を持ち、思いやりや親切な心が行為によって表れることに重点をおき、相手から受ける非常に親切な「行動」を表します。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年1月22日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年1月22日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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