「印影」と「陰影」の違い
字面が似ており、読みも同じ言葉に「印影」と「陰影」があります。
会話をするシーンでは、前後の文脈から言葉の意味を推測するので不便はありません。
しかし文書を書く際に、どちらを使う方が適切なのか、判断に迷ったことがあるのではないでしょうか。
同じ「いんえい」という読み方ですが、意味と使い方が異なるため、文脈に応じて使い分けることが重要です。
「印影」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説
「印影」は「印鑑や印章を押した際に紙などに残る跡のこと」を意味する言葉です。
印判、印顆、極印と言い換えることもできます。
- 「印影が鮮明でないため、再度押印をお願いします」
- 「契約書の印影を確認する」
- 「契約書に印影を押す 」
などのように使われます。
「印影」の「印」は訓読みで「しるし」と読み「はんこ」「しるし」「しるす」という意味を持ちます。
「影」は訓読みで「かげ」と読み、「物の姿」「物の形」「写しとったもの」「かげ」という意味を持ちます。
したがって「印影」は「はんこを写しとったもの・はんこの跡」という意味になります。
「陰影」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説
「陰影」は「光が当たってできる影」「明暗の差によって生じる立体感」を意味する言葉です。
また、「人物の性格や感情の微妙なニュアンス」を指す場合もあります。
影、明暗、濃淡、立体感と言い換えることもできます。
- 「木漏れ日により、地面に陰影ができていた」
- 「絵画に陰影をつける」
- 「彼女の演技には陰影があって魅力的だ」
などのように使われます。
「陰影」の「陰」は訓読みで「かげ」と読み、言葉どおり「かげ」「日かげ」「物におおわれているところ」という意味を持ちます。
「影」は上述した通り、「物の姿」「物の形」「写しとったもの」「かげ」という意味を持ちます。
したがって「陰影」は、似たような意味の漢字を組み合わて「かげ」を意味する熟語になります。
「印影」と「陰影」の使い分け
このように、「印影」と「陰影」はどちらも「影」という漢字を使った熟語になりますが、意味が異なるため使用される文脈も違ってきます。
理解度チェック!「印影」「陰影」のクイズ問題
Q1
「陰影」は「印鑑や印章を押した際に紙などに残る跡のこと」を意味する言葉というのは正しい?
A1
間違い。正解は、「印影」です。
Q2
「印影が鮮明でないため、再度押印をお願いします」という使い方は正しい?
A2
正しい。
Q3
「〇〇」は「光が当たってできる影」「明暗の差によって生じる立体感」を指す言葉です。〇〇に入る言葉は「印影」と「陰影」どちら?
A3
陰影
Q4
「彼女の演技には印影があって魅力的だ」という使い方は正しい?
A4
間違い。正解は、「彼女の演技には陰影があって魅力的だ」です。
Q5
「木漏れ日により、地面に陰影ができていた」という使い方は正しい?
A5
正しい。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月1日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月1日).