「若干」「弱冠」の意味と違い

「若干」「弱冠」の意味と違い

「若干」「弱冠」の意味と違い

「若干」と「弱冠」は同じ読み方で混同しやすい言葉です。使い分けに困った経験のある人もいるかもしれませんが、この2つには明確な違いがあります。日常の様々なシーンでよく使う表現なので、正しい使い方を確認しておきましょう。

本記事では「若干」「弱冠」のニュアンスの違いや使い分け方について解説していきます。 ぜひマスターし、自信を持って使えるようになりましょう。

「若干」

若干

「若干」は「いくらか」「少し」「わずかに」「数量や程度が少ない」を意味する言葉です。「この機種は前のモデルよりも若干性能が向上している」「価格が若干上がった」「到着まで若干の遅れが生じるかもしれない」「今年は若干名の採用がある」などのように使われます。

「若干」の「若」は「いくらか」という意味を持ちます。「干」は「いくらか」「少し」という意味を持ちます。したがって、「若干」は似たような意味を持つ漢字を組み合わせた熟語で「いくらか、少し」という意味になります。

「若干」は数量や程度がはっきりしない場合に使われます。「少量」や「多少」と同じような意味合いで、具体的な数値を示さずに使われることが多くなります。日常的に幅広い分野で、変化や差を客観的に表現する際に適しています。一方、「弱冠」は意味や使用される文脈が異なる熟語になります。

「弱冠」

弱冠

「弱冠」は「年齢が若いこと」「若々しいこと」を意味する言葉です。「彼女は弱冠20歳でプロジェクトリーダーとなった」「弱冠の身でありながら、その責任を担うとは立派だ」などのように使われます。

「弱冠」の「弱」は「よわい」「おさない」「若い」「20歳」という意味を持ちます。「冠」は「(冠をかぶるというところから)成人の儀を迎えること」という意味を持ちます。したがって「弱冠」は下述のように「成人の儀式を迎えた20歳」という意味になります。

「弱冠」はもともと「20歳」を意味する言葉でしたが、現在では「若い年齢」を強調するために使われます。若くして何かを成し遂げた、業績を上げた場合に使われることが多い言葉です。

このように「若干」「弱冠」はどちらも「じゃっかん」と読みますが、「若干」は数量や程度を表す際に使用され、「弱冠」は年齢が若いことを強調する際に使用されます。文脈によって、適切な言葉を選択することが大切です。

なお「弱冠」の”弱”を”若”と誤用することが多いので、注意が必要です。

記事の参考文献

  • 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月6日).
  • 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月6日).