「確信」「核心」「革新」の意味と違い
「確信」「核心」「革新」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。
そのニュアンスや使い方には違いがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「確信」「核心」「革新」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。
ぜひ参考にしてみてください。
「確信」
「確信」は、「固く信じて疑わないこと」「確かにそうなると固く信じること」という意味を持ちます。
「確信」の類義語としては、「思い込み」「執念」「信念」などがあります。
「確信」の「確」は、「たしか」「しっかりしている」「はっきりして間違いがない」の意味を持ち、「信」は「まこと」「偽りがない」「信じる」という意味を持ちます。
したがって「確信」は、「信じて疑わないこと」すなわち「確かにそうなると固く信じること」という意味になります。
「目撃者の証言により、彼の無実を確信した」「自分の判断が正しいと確信している」「今度のプロジェクトは成功すると確信している」のように使われます。
「確信」は、ある物事や判断・考え方、人の行動などについて、確かにそうであると強く信じて疑わないことで、固い信念を持っているときに用いられます。
ちなみに、誤用されやすい言葉として「確信犯」がありますが、「悪いことだとわかっていながら行われた犯罪や行為」と勘違いされるケースが多いです。
実際、平成27年度に文化庁が行った「国語に関する世論調査」では、7割近くの人が間違った意味で使用しているとの調査結果でした。
本来は、「自己の信念に基づき正当な行為として行う犯罪(特に、宗教的・政治的な義務感・使命感に基づくものを指す)」という意味です。
現在では、「故意に行われた犯罪などの悪事」の意味合いでも浸透し、通俗的な使い方として二つの意味を載せている辞書もあります。
しかし、「確信」が「固く信じて疑わない」という意味を持つことから、「全く悪いとは思っておらずに、犯罪などの悪事を行っている」と推測され、本来の意味での使い方が妥当と思われます。
「核心」
「核心」は、「物事の中心である大切な部分」「物事の中心となっている重要なところ」という意味を持ちます。
「核心」の類義語としては、「核」「基軸」「心髄」「中心」などが挙げられます。
「核心」の「核」は、「物事の真ん中」「重要なところ」「物体の中心にあるもの」の意味を持ち、「心」は「こころ」「真ん中」「大事な部分」という意味を持ちます。
したがって「核心」は、「かなめとなる大切な部分」すなわち「物事の中心である大切な部分」という意味になります。
「事件の核心に迫る重要な証拠を発見した」「問題の核心に迫らない限り、解決には至らない」「議論は長引いたが、核心に触れることはなかった」のように使われます。
「核心」は、ある物事や事態・考え方の中心や本質を構成している最も重要な部分を意味し、「彼の発言は問題の核心を突き、会議の流れが一変した」のように誰かの発言などが、議題や話題の大切な部分を的確に指している場面でも使われます。
なお、「核」には「物体の中心」という意味もあり、ある構造や仕組みの中で、全体を支える重要な部分を指すこともありますが、「核心」は「物体の中心」の意味を除いては、主に物理的な物体ではない物事について使われます。
「革新」
「革新」は、「古くからの習慣・制度・状態・考え方を新しく変えようとすること」特に政治では「社会体制・政治組織を新しく変えること」という意味を持ちます。
「革新」の類義語としては、「維新」「改革」「刷新」「一新」などがあり、対義語として「保守」が挙げられます。
「革新」の「革」は、「あらためる」「たるんでダメになったものを建て直す」の意味を持ち、「新」は「新しい」「新しくする」という意味を持ちます。
したがって「革新」は、「古いものを新しいものに変えること」すなわち「古くからの習慣・制度・状態・考え方を新しく変えようとすること」という意味になります。
「革新的なアイデアは、新たなビジネスを生む」「新しいアイデアは、業界における技術革新のきっかけとなる」「政府は、技術革新を支援するための政策を発表した」のように使われます。
「革新」は、今までの制度や組織、考え方などを改めて、新しいものにすることで、従来のものと比べて大胆な変化や進歩をもたらすことを表し、効率や品質の向上などが目標とされます。
また、政治においては、現状を改革しようとする立場を意味します。
以上のように「確信」は、「信じて疑わないこと」という意味があり、ある物事や判断・考え方・行動などについて、固く信じて疑わないという気持ちや考えを表します。
「核心」は、「物事の重要な部分」という意味があり、物事や話題、議論などの最も重要な部分や中心的な要素を指します。
最後に「革新」は、「古いものを新しく変える」という意味があり、産業や政治の分野で使われることが多いです。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月21日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月21日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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