「究明」と「糾明」の意味と違い
「究明」と「糾明」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。
そのニュアンスや使い方には微妙な違いがあるので、混同しないようにそれぞれの意味をしっかりと把握しましょう。
本記事ではその「究明」と「糾明」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「究明」

「究明」は「本質や原因などつきつめて明らかにすること」「道理や真理を徹底的に追究して明らかにすること」という意味を持ちます。
「究明」の「究」は「きわめる」「きわまる」「つきつめる」という意味があり、「明」は「あかるい」「あきらか」「あきらかにする」という意味があります。
したがって「究明」は、「本質や原因などつきつめて明らかにすること」という意味になります。
「究明」は「噂の真相を究明する」「原因の究明が急務だ」「この成果は究明への第一歩だと言える」のように使われ、「究明」の類義語としては、「調査」「詮索」「探求」「捜索」などが挙げられます。
このように、「究明」は、「物事の正しい姿・事柄を調べてはっきりさせること」を表す言葉として使われ、物事の対象は特には限定されていません。
下述する「糾明」も「はっきりさせる」「明らかにする」ということを表しますが、その対象が限定されており、「究明」のように一般的に使われることは少ない言葉です。
「糾明」
「糾明」は、「犯罪や不正を問いただして不明な点をはっきりさせること」「悪いところを追及して明らかにすること」という意味を持ちます。
「糾明」の「糾」は「正す」「調べる」という意味があり、「明」は上述の通り「あかるい」「あきらか」「あきらかにする」という意味があります。
したがって「糾明」は、漢字だけから考えると「調べて明らかにする」という意味になります。
しかし実際は、「犯罪や不正を問いただして不明な点をはっきりさせること」という意味で使われるので、若干の相違がある点に注意が必要です。
「汚職を糾明する必要がある」「時間をかけて容疑者を糾明しなければならない」「違反行為は糾明されるべきだ」のように使われ、「糾明」の類義語としては、「尋問」「詰問」「問責」「糾弾」などが挙げられます。
このように、「糾明」は「罪の有無などを明らかにする」という意味を表し、犯罪や不正に対して使われる言葉です。
「物事の本質や原因をつきつめて明らかにする」という対象が限定されていない「究明」とは異なり、「糾明」は、対象が犯罪や不正に限定されているため、一般的に使われることも少ないです。
以上のように「究明」は、「本質や原因などつきつめて明らかにすること」という意味があり、「物事の正しい姿・事柄を調べてはっきりさせること」を表します。
一方「糾明」は「犯罪や不正を問いただして不明な点をはっきりさせること」という意味があり、「罪の有無などを明らかにすること」を表します。
記事の参考文献
- 編 山田忠雄、柴田武、酒井憲二、倉持保男、山田明雄、上野善道、井島正博、笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 著 北原 保雄(2011-2019)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 編 新村出 (2018,2019)『広辞苑』第七版, 岩波書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年1月18日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年1月18日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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