「圧制」と「圧政」の違い
「圧制」と「圧政」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。
他にも「創造・想像」や「意義・異議」などがあります。
これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どちらを使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
「圧制」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説
「圧制」は「権力や武力によって人を束縛したり、何かを強制したりすること」「無理やり抑えつけること」を意味する言葉です。
- 「その会社のトップは社員に対して圧制的な態度をとる」
- 「圧制を排除するための革命」
などのように使われます。
「圧制」の「圧」は訓読みで「おさえる」「おす」「へす」と読み、「おさえる」「おす」「おさえつける」という意味を持ちます。
「制」は「おさえる」と読み、「したがわせる」「おさえる」「やめさせる」という意味を持ちます。
したがって「圧制」は「従わせる・抑えつける」という意味になります。
「圧制」は政治以外の場面でも、企業の経営者や組織の上層部など権力者による抑圧を表現する際に使用され、より一般的な表現として、様々な場面で使用されます。
「圧政」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説
「圧政」は「権力や武力で人民を抑えつける政治」を意味する言葉です。
- 「圧政に反対するデモが行われた」
- 「その国の国民は長年にわたる圧政を耐えてきた」
などのように使われます。
「圧政」の「圧」は上述したとおり、「おさえる」「おす」「へす」と読み、「おさえる」「おす」「おさえつける」という意味を持ちます。
「政」は訓読みで「まつりごと」と読み、「まつりごと」「世の中をおさめること」という意味を持ちます。
しがたって「圧政」は「抑えつけて世の中をおさめること」という意味になります。
「圧政」は主に政治的な文脈で多く使用され、政府や為政者による抑圧的な統治を意味します。
政治的な抑圧以外にも、政府が行う不当な支配に対して使われます。
なお最初の漫画に出てくる圧政政治という言葉は、圧政という言葉がそもそも政治の「政」のため、二重で政治ということを繰り返しており、相応しくありません。
「圧制」と「圧政」の使い分け
以上のように、「圧制」「圧政」は、どちらも「権力や武力で抑えつける」という点では共通していますが、ニュアンスが異なります。
理解度チェック!「圧制」「圧政」のクイズ問題
Q1
「社長が社員に対して圧政的な態度をとる」という使い方は、正しい?
A1
間違い。正しくは、「社長が社員に対して圧制的な態度をとる」です。
Q2
企業の経営者や組織の上層部など権力者による抑圧を表現する際に使用されるのは、「圧制」それとも「圧政」?
A2
圧制
Q3
「〇〇」は「権力や武力で人民を抑えつける政治」〇〇に入るのは「圧制」それとも「圧政」?
A3
圧政
Q4
「その国の国民は長年にわたる圧政を耐えてきた」という使い方は、正しい?
A4
正しい
Q5
「圧制はより政治的な文脈で限定的に使われる表現」というのは、正しい?
A5
間違い。正しくは、「圧政はより政治的な文脈で限定的に使われる表現」です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月27日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月27日).