

「別状」と「別条」の意味と違い
「別状」と「別条」は、いずれも「べつじょう」と読み、「普通とは変わったこと」という共通点はありますが、それぞれの意味と使われ方には違いがあります。
日常生活やビジネスシーンなどでよく見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「別状」と「別条」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。

「別状」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説

「別状」は、「普通とは変わっている状態」という意味を持ちます。
「別状」の「別」は、「わける」「はなれる」「ほかの」「他とは異なる」の意味があり、「状」は、「かたち」「すがた」「物事の様子」という意味があります。
したがって「別状」は、「異なる様子」すなわち「普通とは変わっている状態」という意味になります。

- 「事故に巻き込まれたが、幸い命に別状はありませんでした」
- 「検査の結果、健康に別状はないとわかった」
- 「転んで足を負傷したが、歩行には別状ない模様です」
のように用いられ、「別状」の類義語は、「異状」「特異」「不自然」などが挙げられます。
「別状」は、普段とは違う状態や異常な事態のことを指し、けがや病気など健康状態に関して使われることが多いです。
事件や事故のニュースでよく見聞きする表現で、主にけが人や病人の安否を伝える際に使われ、普段の状態からどの様に変化したかを表します。

「別条」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説
「別条」は、「普通とは違った事柄」や「取り立てて言うべき事柄」という意味を持ちます。
「別条」の「別」は上述のとおり、「わける」「はなれる」「ほかの」「他とは異なる」という意味があり、「条」は、「小枝」「道筋」「筋道」「事柄」という意味があります。
したがって「別条」は、「異なる事柄」すなわち「普通とは違った事柄」という意味になります。

- 「特に別条なく業務を進める」
- 「契約内容に別条がなければ、近日中にも締結可能です」
- 「今日も別条なく一日の業務が終了した」
のように用いられ、「別条」の類義語は、「異常」「異例」「特異」などがあります。
「別条」は、物事全般において問題がないかどうかを意味し、普通とは違った事柄や状態を指します。
前述の「別状」と同じニュアンスとなり、使い分けが難しく、「別条・別状」と同じ項目に記載している国語辞典もあります。
ただ、新聞やテレビなどの報道機関は、「別条」の方を使うことに統一しており、メディア以外の業界でもそれに則り、一般的には「別条」の方がよく使われています。
また「別条」には、「取り立てて言うべき事柄」という意味合いもあり、取り決めた事柄から外れた別の条件のことを言い、主に法律や契約において特定の条件や状況を指す専門用語として使われます。

「別状」と「別条」の使い分け
「別状」は、「普通とは変わっている状態」という意味を持ち、人間が置かれている状態が、いつもと異なることや普段と変わった状態を表現する言葉です。
一方「別条」は、「普通とは違った事柄」という意味を持ち、いつもとは違った状態や事柄、取り立てて言うべき事柄を表す言葉です。

理解度チェック!「別状」「別条」のクイズ問題

Q1
「今日も別状なく一日の業務が終了した」という使い方は正しい?
A1
間違い。正解は「今日も別条なく一日の業務が終了した」です。
Q2
「〇〇」は、「普通とは変わっている状態」という意味の言葉です。「〇〇」に入る言葉は「別状」と「別条」どちら?
A2
別状
Q3
「検査の結果、健康に別状はないとわかった」という使い方は正しい?
A3
正しい
Q4
「〇〇」の類義語としては、「異常」「異例」などが挙げられます。「〇〇」に入る言葉は「別状」と「別条」どちら?
A4
別条
Q5 「別条・別状」は使い分けが難しい言葉ですが、新聞やテレビなどの報道機関は、「○○」の方を使うことに統一しています。
「〇〇」に入る言葉は「別状」と「別条」どちら?
A5
別条

記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年3月4日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年3月4日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.