「電気」「電機」「電器」の意味と違い

「電気」「電機」「電器」の意味と違い

「電気」「電機」「電器」の意味と違い

「電気」「電機」「電器」はすべて「でんき」と読みますが、ニュアンスが異なる言葉になります。いずれも漠然とした意味合いは知っているものの、詳しい意味や使い分けを説明するとなると、意外に難しいことに気づきます。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では「電気」「電機」「電器」の違いについて、深掘りしていきます。紛らわしい言葉ですが、使い分けることができると表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。

「電気」

電気

「電気」は「電気現象の元となるもの、エネルギーの一種」「電灯」「電力」「電流」という意味を持ちます。「電気を使う」「電気が止まった」「電気をつける」などのように使われます。

「電気」の「電」は訓読みで「いなずま」と読み、「いなずま」「でんき」という意味を持ちます。「気」は天地間に生じる自然現象という意味を持ちます。

「電気」は電力・電流などの物理現象としての「電気」、もしくはそのエネルギーを使ったものを指す際に使われます。下述する「電器」「電機」は、このエネルギーとしての「電気」を使ったものになります。

「電機」

電機

「電機」は「電力で動かす機械、装置」「電気機械」という意味を持ちます。「電機技術を学ぶ」「電機メーカーに勤務する」「電機産業は日本の主要な輸出産業の一つだ」などのように使われます。

「電機」の「電」は上述したとおり、「いなずま」と読み、「いなずま」「でんき」という意味を持ちます。「機」は「細かい部品の組み合わせで働く仕掛け」「からくり」という意味を持ちます。

「電機」は電気を使った機械や装置、特に産業用の機械や装置、比較的大型で複雑な仕組みを持つものを指します。電気を利用した機械・装置に関連する工業分野で使われることが多くあります。

「電機メーカー」は重工業や産業機械を扱う企業に対して使われます。

「電器」

電器

「電器」は「電力を用いて動かす器具」「電気器具」という意味を持ちます。「電器メーカー」「新しい電器店がオープンした」「キッチンに便利な電器を揃える」などのように使われます。

「電器」の「電」は上述したとおり、「いなずま」と読み、「いなずま」「でんき」という意味を持ちます。「器」は訓読みで「うつわ」と読み、「一定の形に作られた道具」という意味を持ちます。

「電器」は電気で動く家庭用の器具や道具を指します。「電機」が大型で複雑な仕組みを持つのに対して、「電器」は比較的小型で、日常生活で使用するものを指す場合が多くなります。

このように「電気」は「エネルギーとしての電気」を指し、「電機」と「電器」はそのエネルギーを活用した機械・器具になります。主に産業用の機械や装置を「電機」、家庭用の器具や製品を「電器」と使い分けることが可能です。

なお新聞紙面では取り扱う品が、家庭用の場合は「電器店」で、生産用や産業用の場合は「電機店」工事関係の場合は「電気店」と表記されます。

例外として、店舗名や企業名では必ずしもこの区別に従っていない場合もありますので気をつけましょう。

記事の参考文献

  • 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月23日).
  • 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月23日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)