「英気」「鋭気」の意味と違い
「英気」「鋭気」は、日常のさまざまなシーンで登場する同音異義語です。しかし、いずれも漠然とした意味合いは知っているものの、詳しい意味や使い分けを説明するとなると、意外に難しいことに気づきます。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では「英気」「鋭気」の意味や違いについて、例文を交えながら詳しく解説していきます。紛らわしい言葉ですが、使い分けることができると表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。
「英気」
「英気」は「人より優れた才気、気性」「物事に積極的に立ち向かう姿勢」を指す言葉です。やる気、元気と言い換えることができます。「休日に英気を養う」「彼の演説は、聴衆に英気を与えた」などのように使われます。
「英気」の「英」は訓読みで「ひいでる」と読み、「優れている」「優れた人」という意味を持ちます。「気」は「心のはたらき」「意識」「精神や感情のはたらき」「性質」という意味を持ちます。したがって「英気」は「優れた性質」「優れた心のはたらき」という意味になります。
「英気」は優れた才能や活力、物事に積極的に立ち向かおうとする気力を意味します。特に「英気を養う」という形で使われ、「これから仕事や勉強など、目標に向かって努力していく際に活力を蓄える」という意味です。
一方「鋭気」は同じように人の心の状態を表す言葉ですが、ニュアンスが異なります。
「鋭気」
「鋭気」は「するどい気性、気勢」「強く激しい意気込み」「元気な勢い」を指す言葉です。「新しいプロジェクトに、鋭気を漲らせて取り組む」「敵の鋭気をくじく」などのように使われます。
「鋭気」の「鋭」は「するどい」「はやい」と読み、「さとくすばやい」「つよい」「勢いがある」という意味を持ちます。「気」は上述したとおり、「心のはたらき」「意識」「精神や感情のはたらき」「性質」という意味を持ちます。
したがって「鋭気」は「するどい性質」「強い精神、感情のはたらき」という意味になります。
上述した「英気」は積極性や向上心を表し、ポジティブな意味合いが強いですが、「鋭気」はどちらかというと鋭く強い意欲や気力を表し、闘志や決意、攻撃的な気力のニュアンスが強くなります。
このように、「英気」「鋭気」は同じ「えいき」と読みますが、違いがあります。「英気」は才能や活力を指し、「鋭気」は鋭く強い意欲や闘志を指します。
「鋭気を養う」と誤用されがちですが、正しくは「英気を養う」となります。状況や伝えたいニュアンスによって、どちらを使うか使い分けることが大切です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月5日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月5日).
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