「衛生」「衛星」の意味と違い
「衛生」と「衛星」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。
日常生活やビジネスシーンなどで多く使われていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「衛生」と「衛星」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。
「衛生」
「衛生」は、「健康を保ち、病気にかからないようにすること」「身の回りを清潔にして健康の維持と疾病の予防・治療につとめること」という意味を持ちます。
「衛生」の「衛」は、「まもる」「ふせぐ」「周りをまわる」の意味を持ち、「生」は、「生きる」「いのち」「生まれる」という意味を持ちます。
したがって「衛生」は、「命を守る」「健康を守る」すなわち「身の回りを清潔にして健康の維持と疾病の予防・治療につとめること」という意味になります。
「手洗いは衛生の基本です」「食品の衛生管理を徹底する」「衛生上の問題で利用中止となる」「公衆衛生の向上に日々取り組む」のように使われます。
「衛生」とは、上述のように健康の維持や生命を守るために身の回りを清潔にして、病気の予防や治療を図ることや、その取り組みも含まれます。
さらに「衛生」は、手洗いやうがいなどの個人の行動をはじめ、社会全体の健康を守るための「公衆衛生」、食や環境などの清潔を保持する「食品衛生」や「環境衛生」などという風に使われます。
「衛星」
「衛星」は、「惑星の周りを公転する天体」「人工衛星の略」や「あるものを中心として、その周辺にあって従属関係にあるもの」という意味を持ちます。
「衛星」の「衛」は上述のとおり「まもる」「ふせぐ」「周りをまわる」の意味を持ち、「星」は「ほし」「天体」という意味を持ちます。
したがって「衛星」は、「周りをまわる天体」すなわち「惑星の周りを公転する天体」という意味になります。
「気象衛星の打ち上げに成功した」「衛星放送をテレビで楽しむ」「人工衛星を使い、位置情報を把握する」のように使われます。
「惑星の周りを公転する天体」が「衛星」ですので、地球の周りを公転する「月」は、地球の「衛星」になります。
また「衛星」は、上述のように、「人工衛星の略」でもあり、電波の送受信や気象観測などを目的に打ち上げられた「人工衛星」も、人工で、天体ではないですが惑星の周りを公転しているので「衛星」です。
さらに「あるものを中心として、その周辺にあって従属関係にあるもの」という意味も、天体ではなく、さらに惑星の周りを公転していませんが「衛星」という使い方をし、本来の意味の比喩的な表現になります。
大国や大都市の周辺に位置し、従属とは言わないまでも、その国や都市の支配や影響を受けている意味を持つ、「衛星国」「衛星都市」という風に使われます。
以上のように「衛生」は、健康を維持し、病気を防ぐための状態や活動を指し、健康や清潔に関連する言葉です。
一方「衛星」は、惑星の周りを公転する天体や人工衛星のことを指し、天体や宇宙に関連する言葉で、比喩的な意味で、ある国や都市を中心として、その周辺にあって影響を受けているものという意味になります。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月22日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月22日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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