「得物」「獲物」の意味と違い
字面が似ており、読みも同じ言葉に「得物」と「獲物」があります。会話をするシーンでは、前後の文脈から言葉の意味を推測するので不便はありません。しかし文書を書く際に、どちらを使う方が適切なのか、判断に迷ったことがあるのではないでしょうか。
本記事では「得物」「獲物」の意味と違い、用例などを深掘りしていきます。同じ「えもの」という読み方ですが、意味と使い方が異なるため、文脈に応じて使い分けることが重要です。ぜひ参考にしてみてください。
「得物」
「得物」は「最も自分の得意とする武器」「自分の最も得意なこと」「自信のある技」を指す言葉です。また「武器」そのものを意味する言葉でもあります。「この刀は彼の得物だ」「兵士たちはそれぞれの得物を手に戦いに臨んだ」などのように使われます。
「得物」の「得」は訓読みで「える」「うる」と読み、「手に入れる」「心にかなう」「わかる」「得意とする」という意味を持ちます。「物」は「もの」と読み、言葉どおり「もの」「ものごと」という意味を持ちます。したがって「得物」は「得意とする物」という意味になります。
「得物」は武芸や技能に関連する文脈で使用されることが多くあります。また武器そのものを指す場合の「得物」は、現代では比較的使用頻度が低く、古い表現や特定の文脈で限定的に使われます。一方、「獲物」は下述しますが、現代でもよく使用される表現となっています。
「獲物」
「獲物」は「狩り、漁で得た物」「戦いや勝負事で勝ち取った物」を指す言葉です。「狩人は獲物を追いかけた」「鹿を獲物として捕まえた」「多くの獲物を手に入れた」などのように使われます。
「獲物」の「獲」は訓読みで「える」と読み、言葉どおり「得る」「手にいれる」「捕まえる」という意味を持ちます。「物」は上述したとおり、「物」は「もの」と読み、言葉どおり「もの」「ものごと」という意味を持ちます。したがって「獲物」は「手に入れた物」という意味になります。
「獲物」は主に、狩猟や漁で捕獲したものを指しますが、比喩的に、目標を達成して得た物を指す場合に使用されることがあります。そのため、現代でも広く使われる言葉になります。
以上のとおり、「得物」「獲物」は「得る物」や「手に入れる物」を意味する言葉ですが、使われる場面や意味に違いがあります。「得物」は「得意とする物、武器」を指し、「獲物」は「狩りや戦いで獲得した物、手に入れた物」を指します。文脈にあった言葉を適切に使い分けることが重要です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月29日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月29日).
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