「発行」「発効」の意味と違い

「発行」「発効」の意味と違い

「発行」「発効」の意味と違い

「発行」「発効」は、日常のさまざまなシーンで登場する同音異義語です。しかし、いずれも漠然とした意味合いは知っているものの、詳しい意味や使い分けを説明するとなると、意外に難しいことに気づきます。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では「発行」「発効」の違いについて、深掘りしていきます。紛らわしい言葉ですが、使い分けることができると表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。

「発行」

発行

「発行」は「書籍や新聞などを印刷して世に出すこと」「証明書・貨幣などを作って世に通用させること」「はやること」という意味を持ちます。「週刊誌を発行する」「パスポートを発行する」などのように使われます。

「発行」の「発」は「外部・世間に向けて出す」という意味を持ちます。「行」は「書物を世に出す」という意味を持ちます。したがって「発行」は「書籍・新聞などを世に出す」という意味になります。

「発行」は、書籍、新聞、雑誌、証明書、通貨などを作成して世に出すことを指します。一般的には、紙などの物理的な状態で、または電子的な形式で発表したり公布したりする行為に使われます。

「発効」

発効

「発効」は「条約・法律などが効力をもつようになること」という意味を持ちます。対義語は「失効」となります。「この条約は今月1日から発効となる」「規則が発効する」などのように使われます。

「発効」の「発」は上述したとおり、「外部・世間に向けて出す」という意味を持ちます。「効」は訓読みで「きく」と読み、「力を発揮した結果」「ききめ」という意味を持ちます。したがって「発効」は「規則などの効力が発生すること」という意味になります。

「発効」は制定された条約、法律などが、特定の日付や条件で効力を発揮し始めることに対して使われます。上述した「発行」は世に出回ることに重点を置いていますが、「発効」は法的な拘束力や効力が生じることを強調します。

このように「発行」「発効」は同じ読みですが意味が異なるため、使い分けが可能になっています。「発行」は「物を作り、流通させること」を指し、「発効」は「法律や規則の効力の発生」を指します。適切な使い分けを心がけましょう。

記事の参考文献

  • 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月20日).
  • 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月20日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)