「必至」「必死」の意味と違い
誰もが一度は直面したことがあるであろう「必至」と「必死」の使い分け問題。会話をするシーンでは、前後の文脈から言葉の意味を推測するので不便はありません。
しかし文書を書く際に、どちらを使う方が適切なのか、使い分けに困った経験のある人もいるかもしれません。日常の様々なシーンでよく使う表現なので、正しい使い方を確認しておきましょう。
本記事では「必至」と「必死」の意味と違い、用例などを解説していきます。
同じ「ひっし」という読み方ですが、意味と使い方が若干異なるため、文脈に応じて使い分けることが大切です。ぜひマスターし、自信を持って使えるようになりましょう。
「必至」
「必至」は「必ずそうなること」「そうなるのは避けられないこと」という意味があります。類語として「必然」が挙げられます。
「このままでは倒産は必至だ」「戦いは必至だ」「行列必至の店」などのように使われます。
「必至」の「必」は訓読みで「かならず」と読み、「かならず」「きっと」「まちがいなく」という意味を持ちます。「至」は「いたる」と読み、「いたる」「とどく」「ゆきつく」という意味を持ちます。
したがって「必至」は「必ず至る」「避けられないこと」という意味になります。 多くの場合、客観的な状況判断で、将来のある出来事が避けられないことを表現する際に使われます。
一方、「必死」は同じ「必」という字を使っていますが、意味が異なる言葉になります。
「必死」
「必死」は「必ず死ぬこと」「死ぬ覚悟で全力を尽くすこと」という意味があります。類語として「命懸け」「死にもの狂い」が挙げられます。
「必死に練習する」「必死の覚悟」「彼は必死に取り組んだ」などのように使われます。
「必死」の「必」は上述したとおり、訓読みで「かならず」と読み、「かならず」「きっと」「まちがいなく」という意味を持ちます。「死」は「しぬ」と読み、「死ぬ」「いのちがけ」「死にもの狂い」という意味を持ちます。
したがって「必死」は「必ず死ぬこと」「死にもの狂い」という意味になります。死を覚悟して全力で物事に取り組むことや、非常に強い決意、努力を意味します。
主に、人の行動や態度を表現する際に使用されます。
以上のように、「必至」「必死」は読みが同じでも意味が異なる言葉になります。
必ずその事がやってくること、避けられないことは「必至」、死ぬ覚悟で全力を尽くすことやその様を表す場合は「必死」と使い分けが可能になっています。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月1日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月1日).
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