
「補足」と「捕捉」の違い

「補足」と「捕捉」は、いずれも「ほそく」と読み、字体も似ており、表記ミスが起こりやすいとされる言葉ですが、それぞれの意味と使われ方には違いがあります。
日常生活やビジネスシーンなどでよく見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。

「補足」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説

「補足」は、「必要な事柄や不十分な所を、つけ足して補うこと」という意味を持ちます。
「補足」の「補」は、「おぎなう」「つくろう」「たすける」の意味があり、「足」は、「十分にある」「たりる」「たす、加える」という意味があります。
したがって「補足」は、「加えておぎなうこと」すなわち「必要な事柄や不十分な所を、つけ足して補うこと」という意味になります。

なお、「補足」の類義語は、「付加」「追加」「補充」などが挙げられ、「補足」は
- 「会議の内容についての補足資料を配布する」
- 「先ほどの発表に関し、補足して説明します」
- 「今後の影響について、専門家が補足説明を行った」
のように使われます。
「補足」は、最初に提供されたものが十分ではないとき、理解されていない部分がある場合などで、不足している説明や情報を付け加えることを意味します。
そして、説明や情報を追加することにより、全体の理解を深めたり、内容をより充実させることを目的とした行為を指します。

「捕捉」とは?マンガで使い方をわかりやすく解説
「捕捉」は、「とらえること、つかまえること」や「文章などの内容を理解すること」という意味を持ちます。
「捕捉」の「捕」は、「とる」「とらえる」「つかまえる」という意味があり、「捉」は、「とらえる」「つかまえる」という意味があります。
したがって「捕捉」は、「とらえること、つかまえること」という意味になり、同じ意味を持つ漢字を重ねることで、より「しっかり捕まえる、放さず捉えること」を強調しています。

なお「捕捉」の類義語は、「捕獲」「把握」などがあり、「捕捉」は、
- 「レーダーが敵機の動きを捕捉した」
- 「監視カメラが逃走中の犯人の足取りを捕捉していた」
- 「彼女は政治家の本音を巧みに捕捉し、記事にまとめた」
のように使われます。
「捕捉」は、物理的に人や動物などを捕まえる、取り押さえるだけでなく、レーダーやカメラなどで認識・把握する場合、情報やデータを捉える場面など、多岐にわたって使用されるため、場面によってそのニュアンスが変わります。

「補足」と「捕捉」の使い分け
「補足」と「捕捉」は、いずれも「ほそく」と読みますが、、それぞれの意味と使われ方には違いがあります。
「補足」は、「必要な事柄や不十分な所を、つけ足して補うこと」という意味を持ち、何かが不足しているときに、説明や情報を付け加え、全体を完成させる行為を指します。
一方「捕捉」は、「とらえること、つかまえること」という意味を持ち、物理的に生物などを捕まえることのほか、文章など内容を把握すること、情報や物事を正しく捉えて理解するという意味を持つ言葉です。
理解度チェック!「補足」「捕捉」のクイズ問題

Q1
「会議の内容について捕捉の資料を配布する」という使い方は正しい?
A1
間違い。正解は「補足」です。
Q2
「〇〇」の類義語は、「付加」「追加」「補充」などが挙げられます。「〇〇」に入る言葉は「補足」と「捕捉」どちら?
A2
補足
Q3
「補足」は、「必要な事柄や不十分な所を、つけ足して補うこと」という意味というのは正しい?
A3
正しい

Q4
「監視カメラが逃走中の犯人の足取りを捕捉していた」という使い方は正しい?
A4
正しい
Q5
「〇〇」は、「とらえること、つかまえること」や「文章などの内容を理解すること」という意味を持つ言葉です。「〇〇」に入る言葉は「補足」と「捕捉」どちら?
A5
捕捉
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月28日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月28日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.