「表示」「標示」の意味と違い
「表示」と「標示」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。他にも「創造・想像」や「意義・異議」などがあります。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どちらを使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
本記事では、「表示」と「標示」の意味や使い分けについて解説していきます。違いを理解し、ぜひ自信を持って使い分けられるようになりましょう。
「表示」
「表示」は「外部にはっきりとあらわし示すこと」「表にして示すこと」「きざし」「兆候」という意味を持ちます。「画面にメッセージが表示される」「食品の成分表示」「価格を表示する」などのように使われます。
「表示」の「表」は「おもて」「あらわす」と読み、 「表に出して明らかにする」「あらわす」という意味を持ちます。「示」は「しめす」と読み、「しめす」「さししめす」「おしえる」という意味を持ちます。
「表示」は物事を目に見える形で表すことを意味します。一般的に、言葉や数字などを使って相手にわかるように示すことに使われ、幅広い情報を提示してくれます。
日常生活の中で幅広く使われるのがこちらの「表示」になります。
「標示」
「標示」は「文字・図・記号など目印をつけて示すこと」という意味を持ちます。また、その目印の文字、記号、絵などを指します。「道路標識で進行方向を標示する」「土地の境界線を標示する」などのように使われます。
「標示」の「標」は「しるし」「しるべ」と読み、「しるし」「めじるし」「あらわす」「しるす」「書きしるす」という意味を持ちます。「示」は上述したとおり、「しめす」「さししめす」「おしえる」という意味を持ちます。
「標示」は特に、看板や標識などによって目に見える形で物事を示す場合に使われます。道路交通や建設などの特定の分野、法律用語や公的な文書で使われることが多く、一般的にはあまり日常で使われません。
なお新聞においては「道路標示」など道路交通法に基づく言葉にのみ、「標示」が使われ、それ以外の言葉では、「標示」を使う場面でも全て「表示」に統一されています。
以上のように「表示」「標示」はどちらも「ひょうじ」と読みますが、ニュアンスが異なります。一般的に情報を示す場合「表示」、一部分野での目印や警告などを示す場合は「標示」と使い分けが可能になっています。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月22日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月22日).
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