「異物」「遺物」の意味と違い
「異物」と「遺物」は同じ読み方で、どちらも「物」という字を使っているため、混同しやすい言葉です。使い分けに困った経験のある人もいるかもしれませんが、この2つには明確な違いがあります。日常の様々なシーンでよく使う表現なので、正しい使い方を確認しておきましょう。
本記事では「異物」と「遺物」のニュアンスの違いや使い分け方について解説していきます。ぜひマスターし、自信を持って使えるようになりましょう。
「異物」
「異物」は、「本来そこにあるべきではない、不適切なもの」「周りの環境や状況から見て、不自然なもの」を意味します。また「食品に混入したり、体内に発生した不要なもの」という意味もあります。雑物、混入物、不純物と言い換えることもできます。
「目に異物が入った」「食品に異物が混入する」「異物が入り込んだため、機械が故障した」などのように使われます。
「異物」の「異」は「ことなる」「別の」「他の」という意味を持ちます。「物」は訓読みで「もの」と読み、言葉どおり「もの」「事柄」「ものごと」という意味を持つため、「異物」は「ことなるもの」という意味になります。
「異物」と「遺物」はどちらも「物」を指している言葉ですが、指している「物」に違いがあります。「異物」は特に周りの環境や状況から見てふさわしくないもの、不自然なもの、異質なもの、不適切なものというマイナスなイメージで使われることが多くなります。
「遺物」
「遺物」とは、「過去につくられたもの」「故人が残した物」「過去の時代に使われていたもの」「考古学的な発見物」を意味します。また、「遺失物」「忘れ物」という意味もあります。遺品、遺留物と言い換えることもできます。
「古代の遺物を発掘する」「祖母の遺物を整理する」などのように使います。
「遺物」の「遺」は「残る」「残す」「忘れる」という意味を持ち、「物」は上述した通り、「もの」「事柄」「ものごと」という意味を持つので、「遺物」は「(故人が)残した物」という意味になります。
このように、「異物」はその環境下において不要で望ましくないものを指し、「遺物」は過去に作られた歴史的価値のあるもの、亡くなった人の残した品物を指します。使われる場面が異なるため、文脈によってどちらの言葉を使うかが決まります。
記事の参考文献
- 編 藤堂明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年8月17日).
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編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
- 編 新村出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
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編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店
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編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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