「異義」「異議」の意味と違い
「異義」と「異議」は読み方が同じで、「義」と「議」の文字も似ていることから、混同しやすい言葉ですが、意味や使い方が異なります。
「異義」よりも「異議」の方が日常で使うことが多いですが、間違えずに使い分けるためにも意味を理解する必要があるでしょう。
そこで、今回はこの二つの言葉の意味と違いや、使い方について解説したいと思います。
「異義」
「異義」は「異なった意味」、「意味が異なること」という意味を持ちます。対義語としては「同義」などがあります。「異義」は使う場面は少ないですが、「以外と意外は同音異義語だ」のように使われます。
「異義」の「異」は「ことなる」という意味を持ちます。「義」は「人として行うべき正しいこと、道理」という意味の他に「意味」や「わけ」という意味を持ちます。すなわち「異義」は「意味が異なる」という意味になるのです。
上述の「同音異義語」という字を、「同音意義語」と誤って表記する場合がありますが、「同音異義語」の意味が「同じ読みで意味が異なる語」と理解していれば間違えることはないでしょう。
「異議」
「異議」は、「異なった意見」という意味を持ちます。「議」の字には、「意見」という意味があります。意見を表す「議」の字に「異なる」という意味の「異」の字がつくことで、「他人とは違う意見、考え方」や「反対意見」という言葉になるのです。
日常でよく聞くのは、「異議あり」や「異議なし」だと思いますが、これは「反対意見があります」、「反対意見はありません」という意味になります。
なお、「異議」は法律用語においては「誰かの意見や決定事項に対して不服である、賛成できない」という意味もあります。「異議を唱える」という表現は、承服できないために反対意見を述べることを表します。そして、「異議」に「申し立て」という言葉をつけると「不服を申し立てるための法的手続き」を意味する「異議申し立て」という一つの言葉になります。
「異義」と「異議」は、とてもよく似ている字面のため、表記するときに間違いやすく、注意が必要です。
記事の参考文献
- 編 金田一京助 編集代表 深谷圭助(2015) 『例解学習 国語辞典』第十版 小学館
- 編 藤堂明保 編集代表 深谷圭助(2014)『例解学習 漢字辞典』第八版 小学館
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年8月28日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
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編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店
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編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
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