「依存」「異存」の意味と違い

「依存」「異存」の意味と違い

「依存」「異存」の意味と違い

「依存」「異存」は、日常のさまざまなシーンでよく使われる言葉です。しかし、いずれも漠然とした意味合いは知っているものの、詳しい意味や使い分けを説明するとなると、意外に難しいことに気づきます。これらの言葉には、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事では、「依存」「異存」の意味や違いについて、例文を交えながら詳しく解説していきます。紛らわしい言葉ですが、使い分けることができると表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。

「依存」

依存

「依存」は、「いそん」「いぞん」、どちらでも読むことができ「他者や物事に頼りきりになること」「他のものに頼ること」を意味します。心理的、または物理的に何かを必要とした状態を指します。すがる、しがみつくと表すこともできます。「彼女は薬物に依存しているため、治療が必要だ」「アルコール依存症」「親に依存する」「彼は依存心が強い」などのように使われます。

「依存」の「依」は訓読みで「よる」と読み、「よりかかる」「たよる」といった意味を持ちます。「存」は「ある」「いる」「生きている」といった意味を持つので、「依存」は「頼った状態で存在する」すなわち「他のものに頼ること」という意味になります。

「依存」の対義語として「自立」「独立」などがあります。

「依存」と「異存」はどちらも「存」という字を使っており、一見似ているようですが、全く異なる概念の熟語になります。「依存」は日常生活の幅広い場面で使われます。一方、下述する「異存」は主に、会議、討論、交渉や文書の文言などの場面で使われる言葉になります。

「異存」

異存

「異存」とは、「物事や他者に対して違う考えを持つこと」「人とは違う考え」「反対の考え」を意味します。異議、異見、反対意見と表すこともできます。「この計画に対して、部長は異存を唱えている」「ご提案いただいた内容で異存はありません」などのように使います。

「異存」の「異」は訓読みで「ことなる」と読み、「ことにする」「ことなる」「別の」という意味があります。「存」は上述のように「ある」「いる」「生きている」といった意味を持つので、「異存」は「異なるもの(意見)がある」という意味になります。

「異存」の対義語として「賛成」「賛同」「合意」などがあります。

このように、「依存」は他者や物に頼る状態を指し、「異存」は異なる意見や異議、反対意見を表します。状況に応じて適切な言葉を選び、相手に分かりやすく伝えることが大切です。

記事の参考文献

  • 編 藤堂明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年8月9日).
  • 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.

  • 編 新村出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店

  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.