「自認」と「自任」の意味と違い

「自認」と「自任」の意味と違い

「自認」と「自任」の意味と違い

自認」と「自任」は、いずれも「じにん」と読み、「自分自身を理解すること」という共通点はありますが、それぞれの意味と使われ方には違いがあります。

日常生活やビジネスシーンなどでよく見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事ではその「自認」と「自任」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。

紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。

「自認」

「自認」とは

自認」は、「ある状態が事実であると自分自身でたしかに認めること」という意味を持ちます。

自認」の「自」は、「おのれ」「みずから」「自分で」の意味があり、「認」は、「認める」「承知する」「見わける」という意味があります。

したがって「自認」は、「自分自身で認めること」すなわち「ある状態が事実であると自分自身でたしかに認めること」という意味になります。

なお、「自認」の類義語は、「自覚」「認識」などが挙げられ、「自認」は「彼女は完璧主義者であることを自認している」「彼も自分がリーダーにふさわしいと自認している」「自分のミスを自認した上で、改善策を考えるべきだ」のように使われます。

自認」は、他者からの評価と同じように自分自身でも、客観的な事実や立場や役割、状況などがそうであることを認め、自覚することを意味します。

すなわち他者からの評価に加えて、自分でもその評価が正しいと認める様子を指します。

ちなみに「自認」は、自己の能力の限界を認識するなど、目を背けたい事実を渋々認める様なネガティブなニュアンスも含むため、善悪・良否などに関係なく、どちらの場面でも使うことが出来ます。

「自任」

「自任」とは

自任」は、「自分の能力・資質・役割などが、その任務や地位にふさわしいと思い込むこと」や「自分で、そのことを自分の任務だと考えること」という意味を持ちます。

自任」の「自」は上述のとおり、「おのれ」「みずから」「自分で」という意味があり、「任」は、「しごと」「役目につく」「まかせる」という意味があります。

したがって「自任」は、「自分をその役目にあてること」すなわち「自分の能力・資質・役割などが、その任務や地位にふさわしいと思い込むこと」という意味になります。

なお「自任」の類義語は、「自負」「矜持(きょうじ)」などがあり、「自任」は、「私はこの分野の第一人者を自任している」「彼女は自任することで、その役割に対する責任感が強まった」「彼はチームのまとめ役を自任している」のように使われます。

自任」は、自分でその能力・性格が優れていたり、その資格が自分にあると思い込み、自分でその役割を引き受けることや自らを任じることを意味し、何らかの役割や責任を自分で担うことを指します。

自任」は、客観的ではなく主観的な評価として、他者ではなくあくまで自分自身が、自分がやるべき仕事や任務だと考えたり、自分の持つ能力が誰よりも適しており、事を行うのにふさわしいと思っている場面で使われます。

以上のように「自認」は、「ある状態が事実であると自分自身でたしかに認めること」という意味を持ち、良い悪いに関係なく、他者の評価に加えて自分もそうだと認め、自覚していることを表す言葉です。

一方「自任」は、「自分の能力・資質・役割などが、その任務や地位にふさわしいと思い込むこと」という意味を持ち、あくまでも自分が、その能力や資質があると思い込み、自ら役割や責任を引き受けることを表す言葉です。

記事の参考文献

  • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
  • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
  • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月15日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月15日).
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.



北澤篤史サイト責任者

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