「開放」「解放」の意味と違い

「開放」「解放」の意味と違い

「開放」「解放」の意味と違い

字面が似ており、読みも同じ言葉に「開放」と「解放」があります。会話をするシーンでは、前後の文脈から言葉の意味を推測するので不便はありません。しかし文書を書く際に、どちらを使う方が適切なのか、判断に迷ったことがあるのではないでしょうか。

本記事では「開放」「解放」の意味と違い、用例などを深掘りしていきます。同じ「かいほう」という読み方ですが、意味と使い方が異なるため、文脈に応じて使い分けることが重要です。ぜひ参考にしてみてください。

「開放」

開放

「開放」は「窓や戸をあけはなつこと」 「禁止・制限せずに誰でも自由に出入りしたり利用を許すこと」という意味があります。対義語は「閉鎖」となります。「窓を開放して換気をする」「図書館は市民に開放されている」などのように使われます。

「開放」の「開」は訓読みで「ひらく」「ひらける」「あく」「あける」と読み、 「閉じているもの、ふさがっているものをあけ放つ」「ひらく」「あく」「あける」という意味を持ちます。「放」は「はなす」「はなれる」と読み、「はなす」「ときはなす」「自由にさせる」「ゆるす」という意味を持ちます。

「開放」は物理的に門や窓、施設などを開け放つという意味で使われます。また、制限を取り払って自由に利用できるようにすることを表す際にも使用されます。一方「解放」は下述しますが、ニュアンスが異なります。

「解放」

解放

「解放」は「からだ、心の束縛や制限を取り除いて自由にすること」という意味があります。対義語は「束縛」となります。「長時間の会議から解放されて、気分が軽くなった」「試験が終わって解放感を味わう」「人質解放」などのように使われます。

「解放」の「解」は「とく」「とかす」「ほどける」と読み、「ほどく」「ときはなす」「役目や束縛から解き放つ」という意味を持ちます。「放」は上述したとおり、「はなす」「ときはなす」「自由にさせる」「ゆるす」という意味を持ちます。

「解放」は物理的な束縛や制限だけでなく、心理的・社会的な制限や圧力から解きはなされることも含みます。何かに縛られていた状態から自由にする、または自由になることという意味合いが強くなります。

このように、「開放」「解放」は同じ読みでもニュアンスが異なります。閉ざされていたものを開けて自由に出入りできるようにすることを「開放」、束縛や制限を取り除いて自由にすることを「解放」と使い分けることが可能です。

記事の参考文献

  • 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月10日).
  • 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月10日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)