「確率」「確立」の意味と違い

「確率」「確立」の意味と違い

「確率」と「確立」は同じ読み方で混同しやすい言葉ですが、この2つには明確な違いがあります。日常の様々なシーンでよく使う表現なので、正しい意味を確認しておきましょう。

本記事では「確率」「確立」のニュアンスの違いや使い分け方について解説していきます。 ぜひマスターし、自信を持って使えるようになりましょう。

「確率」

確率

「確率」は「一つの事象の起こりうる可能性の度合やその数値」という意味を持ちます。類義語に「公算」などが挙げられます。

「降水確率が80%だ」「サイコロの目が1になる確率を求める」「宝くじに当たる確率は非常に低い」などのように使われます。

「確率」の「確」は「たしか」「たしかめる」と読み、「たしか」「まちがいがない」「たしかめる」という意味を持ちます。「率」は「わりあい」「程度」という意味を持ちます。

したがって「確率」は「全体に対する部分の割合」「確かな割合」という意味になります。

「確率」はある事象が起こる可能性や割合を数値で表したものを指す言葉になります。主に統計学や数学で用いられ、結果がどれくらいの頻度で発生するかを数値で示します。

一方「確立」は、下述しますが、読みは同じでも意味は異なる言葉になります。

「確立」

確立

「確立」は「不動のものとして定めること」「制度・組織・計画などをしっかりと打ち立てること」という意味を持ちます。類語として樹立が挙げられます。

「新しいビジネスモデルを確立する」「信頼関係を確立する」「民主主義を確立する」などのように使われます。

「確立」の「確」は上述した意味を持ち、「立」は「たつ」「たてる」と読み、「たてる」「さだまる」「成りたたせる」という意味を持ちます。

したがって「確立」は「たしかにたてること」すなわち「しっかりと打ち立てること」という意味になります。

「確立」はしっかりとしたものを作り上げること、または制度や地位などを確実に築くことを意味します。主に何かを安定した状態にする、または成し遂げる際に使われる言葉になります。

このように、「確率」「確立」は同じ「かくりつ」と読みますが、意味が異なる言葉になります。

ある事象が起こる可能性を示す度合いを「確率」、しっかりと打ち立てることを「確立」と表します。文脈に合わせて適切なものを選択することが大切です。

記事の参考文献

  • 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月11日).
  • 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
  • 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
  • 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月11日).
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)