「加熱」「過熱」の意味と違い
「加熱」と「過熱」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。他にも「創造・想像」や「意義・異議」などがあります。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どちらを使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
本記事では、「加熱」と「過熱」の意味や使い分けについて解説していきます。違いを理解し、ぜひ自信を持って使い分けられるようになりましょう。
「加熱」
「加熱」は「熱を加えること」という意味を持ちます。「試薬を加熱する」「電子レンジで冷凍食品を加熱する」などのように使われます。
「加熱」の「加」は訓読みで「くわえる」と読み、「くわえる」「ふやす」「多くなる」という意味を持ちます。「熱」は訓読みで「あつい」と読み、「温度を高める力」「焼く力」という意味を持ちますので「加熱」は「熱を加えること」という意味になります。
「加熱」は主に、意図的に熱を加えて温度を上げることを指す言葉です。調理や実験、物の加工などで必要な温度になるまで熱する行為に対して使われます。
「加熱」は目的を持って熱を加える場合に使用されます。下述する「過熱」は「加熱」と同じ熱に関する言葉ですが、ニュアンスは少々異なります。
「過熱」
「過熱」は「必要以上に熱くなること」「物事の状態が度が過ぎて激しくなること」という意味を持ちます。「エンジンが過熱する」「議論が過熱する」などのように使われます。
「過熱」の「過」は訓読みで「すぎる」と読み、「度がすぎる」「はなはだしい」という意味を持ちます。「熱」は上述した意味を持ちますので、「度が過ぎて温度が上がる」すなわち「必要以上に熱くなること」という意味になります。
「過熱」は「加熱」と違って、意図せずに温度が上がりすぎることや、温度の上がりすぎによって好ましくない状態になる場合に使われます。その物の制御を超えた状態を指すことが多いです。
なお「物事の状態が度が過ぎて激しくなること」という意味は、「必要以上に熱くなること」ということから転じて、物理的な温度以外でも、使われるようになり、議論や取引、競争などの場面で使用されます。
このように、「加熱」「過熱」はどちらも「かねつ」と読みますが、ニュアンスが異なるため、使い分けが可能になっています。
意図的に熱を加える場合は「加熱」、必要以上に熱を加えてしまうことや、想定以上の温度に達する場合、物事の状態が度が過ぎて激しくなることを言い表す時には「過熱」を使用します。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月26日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月26日).
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