「過程」「課程」の意味と違い
「過程」と「課程」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。他にも「異動・移動」や「意思・意志」などがあります。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どちらを使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
本記事では、「過程」と「課程」の意味や使い分けについて解説していきます。違いを理解し、ぜひ自信を持って使い分けられるようになりましょう。
「過程」
「過程」は「ある事柄が結果に至るまでの、一連の変化や段階のこと」「物事が変化し進行して、ある結果に至るまでの道筋」を意味する言葉です。経過、プロセス、推移、変化、進行などと言い換えることができます。「植物の成長の過程」「製造過程」「成功に至る過程」などのように使われます。
「過程」の「過」は訓読みで「すぎる」と読み、「とおり過ぎる」「時間がたつ」「過ぎ去る」という意味を持ちます。「程」は「道筋」「道のり」という意味を持ちます。したがって、「過程」は「時がたつ(までの)道筋」という意味になります。
「過程」は物事がどのように変化していくか、その流れの部分を強調する言葉です。抽象的な概念から具体的な出来事まで、幅広い範囲の事象に使用されます。一方、「課程」は全く異なる概念を表す言葉であり、使用される文脈も大きく異なります。
「課程」
「課程」は「特定の目的を達成するための教育の流れや段階、その内容」「ある期間に割り当てて修得させる学業の内容・順序」を意味する言葉です。講座やカリキュラムなどと言い換えることができます。「大学院では高度な課程が設けられている」「4つの課程に分かれて授業が行われる」などのように使われます。
「課程」の「課」は訓読みで「わりあてる」「はかる」「こころみる」と読み、「割り当てられた仕事・勉強」という意味を持ちます。「程」は上述したとおり、「道筋」「道のり」という意味を持ちます。したがって「課程」は「割り当てられた勉強の道筋」という意味になります。
「課程」は目標に向かって、計画的に段階を踏んで進んでいく様子を表しており、「過程」と似ている部分もありますが、「課程」は教育や学習に関する場面で、主に使われる言葉になります。
このように、「過程」と「課程」はどちらも「かてい」という読みの熟語になりますが、意味が異なるため使用される文脈も違ってきます。物事が進むプロセスや進行中の段階を指す場合は「過程」、学校や教育機関での学習プログラムやカリキュラムを指す場合は「課程」と使い分けることができます。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月5日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月5日).
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