「健診」「検診」の意味と違い
「健診」と「検診」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。他にも「異動・移動」や「意思・意志」などがあります。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どちらを使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
本記事では、「健診」と「検診」の意味や使い分けについて解説していきます。違いを理解し、ぜひ自信を持って使い分けられるようになりましょう。
「健診」
「健診」は「健康診断」の略で、「疾病の有無、栄養、発育の状態などを医師が診断すること」を意味する言葉です。病気の予防、早期発見、健康の保持、健康の増進を目的として行われます。「来週、乳児健診がある」「年に一回、定期健診を受ける」のように使われます。
「健診」の「健」は訓読みで「すこやか」と読み、「体が丈夫でしっかりしている」「元気がよい」という意味を持ちます。「診」は訓読みで「みる」と読み、「病状をよく調べて判断する」「みる」「調べる」という意味を持ちます。したがって「健診」は「体の調子(元気が良いかどうかを)をよく調べて判断する」という意味になります。
「健診」は病気の有無に関わらず、全身の健康状態を総合的に調べるためのものです。具体的には、会社の健康診断や人間ドックが「健診」に当たります。一方で、「検診」は、「健診」と同じように医師が診ることを指しますが、若干ニュアンスが異なります。
「検診」
「検診」は「病気にかかっているかどうかを調べるために、検査や診察を行うこと」を意味する言葉です。特定の病気を早期に発見し、早期治療につなげることを目的として行われます。「子宮がん検診を受ける」「職場で行われる特定検診」などのように使われます。
「検診」の「検」は訓読みで「しらべる」「あらためる」と読み、言葉どおり「取り調べる」「あらためる」という意味を持ちます。「診」は上述したとおり、訓読みで「みる」と読み、「病状をよく調べて判断する」「みる」「調べる」という意味を持ちます。したがって「検診」は「病状をよく調べる」という意味になります。
「健診」に対して、「検診」は特定の疾患に関連する検査が重点的に行われることになります。例として、がん検診や特定の臓器の検査などが「検診」に当たります。特定の病気にかかっている人に対してより詳しい検査を行うこともあります。
「健診」「検診」ともに、健康管理や疾病の早期発見に重要な役割を果たしますが、目的や内容に若干の違いがあります。健康状態を総合的に把握したい場合の検査は「健診」、特定の病気の早期発見をしたい場合の検査は「検診」と使い分けられます。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月16日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年9月16日).
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