「気化」「帰化」の意味と違い

「気化」「帰化」の意味と違い

「気化」「帰化」の意味と違い

「気化」と「帰化」は、同じ「きか」という読み方ですが、意味の異なる同音異義語です。

「気化」と「帰化」は、使われている漢字を見ると意味を理解しやすい言葉だと思いますので、使い分けはさほど難しくはないでしょう。

ただ、「気化」や「帰化」のはっきりとした意味を答えることは、意味が複数あったり、難しさがありますので、ここで学んでいきましょう。

「気化」

気化

「気化」とは「液体が蒸発または沸騰することによって気体に変わること」を意味します。また「固体が気体に変わること」を「昇華」といいますが、「液体だけでなく固体が気体に変わること」も「気化」の意味に含めることも多いです。「気化」の類義語には、「昇華」「蒸気」などがあり、「水が気化して水蒸気になる」などのように使われます。

「気化」の「気」には「空気、水蒸気」という意味があり、「化」の字には「変わる」や「別のものになる」という意味があります。したがって、「気化」は「空気(水蒸気)に変わる」という意味を持つのです。

なお上述したように「固体が気体に変わること」を「昇華」といいますが、これはドライアイス (固体)が、液体にならずに直接気体になるという現象でみられます。一方、下述する「帰化」は「気化」と同音ですが、全く異なる意味を持ちます。

「帰化」

帰化

「帰化」は「本人の意思や希望によってそれまで籍を置いていた国とは違う国の国籍を、法的な手続きによって取得し、その国の国民になること」という意味です。「彼はアメリカから日本に帰化した」などのように使います。

また、「帰化」には「外国に生息していた動物や植物が渡来し、その国の環境に適応して野生化し繁殖すること」という意味もあります。そのように帰化した動植物は「帰化植物」や「帰化動物」と表現されます。

「帰化」の「帰」の字には戻ることを意味する「帰る」という意味のほかに「あるべきところに行きつく、落ち着く」という意味もあります。すなわち「帰化」は「自分があるべき国や場所に落ち着く」という意味になるのです。

「気化」は「液体や固体が気体に変わる」という意味で、「帰化」は「人が国籍を変えたり、動植物が外国から渡来し、繁殖する」という意味です。何が何に変わるのか(どう変わるのか)という点が全く異なりますので、意味をしっかり理解して使い分けるようにしましょう。

記事の参考文献

  • 編 金田一京助 編集代表 深谷圭助(2015) 『例解学習 国語辞典』第十版 小学館
  • 編 藤堂明保 編集代表 深谷圭助(2014)『例解学習 漢字辞典』第八版 小学館
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月15日).
  • 編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.

  • 編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店

  • 編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.

北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)