「器官」「気管」の意味と違い
「器官」と「気管」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。日常の様々な場面で見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「器官」と「気管」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。
「器官」
「器官」は、「生物体を構成する一部分」「いくつかの組織が集まって一定の形、大きさ及び生理機能を持つ部分」という意味を持ちます。
「器官」の「器」は、「生物体で特定の働きと形を持つもの」の意味を持ち、「官」は「身体の働きをつかさどる部分」という意味を持ちます。
したがって「器官」は、「特定の機能と形態をもち、体の働きをつかさどる部分」すなわち「いくつかの組織が集まって一定の形、大きさ及び生理機能を持つ部分」という意味を持ちます。
動物では目・口・胃など、植物では根・茎・葉・花などが「器官」に当たります。
「気管や肺などは呼吸器官と呼ばれている」「人体には心臓や肺などの重要な器官がある」「犬にとって鼻は大切な器官です」のように使われます。
食べた物を消化して栄養に変えるための「器官」である口・胃・腸などをまとめて「消化器官」と機能ごとに呼ぶこともあります。
「器官」は必ずしも臓器や内臓のような人間や動物の体内にある「器官」だけでなく、目や皮膚など広い範囲を含みます。
なお「器官」を「器管」と誤用することが多いので注意が必要です。
「管」は下述しますが「くだ」という意味なので、「器管」は誤用ということがわかります。
「気管」
「気管」は、「空気の通る管」「脊椎動物の咽頭から肺に至る円柱状の管」「甲殻類以外の節足動物の呼吸器官」という意味を持ちます。
「気管」の「気」は、「空気」「いき、呼吸」の意味を持ち、「管」は「くだ」という意味を持ちます。
したがって「気管」は、「空気の通る管」すなわち「脊椎動物の咽頭から肺に至る円柱状の管」という意味になります。
呼吸に際し、鼻や口から吸いこまれた空気を肺に運ぶための管を指します。
「のどの炎症により気管が腫れて痛い」「気管に異物が入り、咳き込んだ」「気管支炎になると呼吸が苦しくなる」のように使われます。
「気管」は、喉(咽頭・喉頭)から始まり、左右の気管支に分かれ、それぞれの肺に至ります。気道の一部であり、解剖学的には咽頭から気管支までの約10~12cmが範囲となります。
哺乳類では、咽頭に声帯が付属しているので、「気管」は発声にも関わりがあります。
また、「気管」の内側は粘膜で覆われ、小さな毛(繊毛)が生えています。これにより異物や埃(ほこり)などが肺に入らないように防御し、咳や痰として外に排出されます。
以上のように「器官」は、「生物体において特定の機能と形態をもち、体の働きをつかさどる部分」であり、心臓・肺・肝臓などを指します。それぞれ独自の役割を果たしています。
「気管」は、「空気の通る管」つまり、鼻や口から吸いこまれた空気を肺に運ぶための管を指します。
心臓・肺・肝臓などの生物体を構成する部分のうち、「気管」は、呼吸に特化した役割を持つ「器官」ということになります。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月28日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月28日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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