「既成」と「既製」の意味と違い

「既成」「既製」の意味と違い

「既成」「既製」は、日常のさまざまなシーンで登場する同音異義語です。しかし、いずれも漠然とした意味合いは知っているものの、詳しい意味や使い分けを説明するとなると、意外に難しいことに気づきます。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。

本記事では「既成」「既製」の意味や違いについて、例文を交えながら詳しく解説していきます。紛らわしい言葉ですが、使い分けることができると表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。

「既成」は「既に存在していること、または出来上がっている状態」を意味します。広い意味で、すでに存在している事柄や概念を指します。「既成の枠にとらわれない」「既成の価値観にとらわれない発想」「既成の事実として受け入れます」などのように使われます。

「既成」の「既」は訓読みで「すでに」と読み、言葉どおり「すでに」という意味を持ちます。「成」は訓読みで「なる」「なす」と読み、「つくりあげる」「仕上がる」「なる」「できあがっている」という意味を持ちます。したがって「すでにできあがっている（状態）」という意味になります。

「既成」は形のない概念、考え、制度など、抽象的なものに用いられることが多い言葉です。社会に定着していることや、すでに広く認知されていることを強調します。一方、「既製」は同じ「既」という字を使っていますが、ニュアンスが異なります。

「既製」は「既に作られていて、そのまま使える状態にあるもの」を意味します。主に製品や商品に関して使われ、すでに作られて完成している状態を指します。「そのカーテンは既製品である」「既製服を買う」などのように使われます。

「既製」の「既」は上述したとおり、「すでに」という意味を持ちます。「製」は訓読みで常用漢字外の読みですが「つくる」と読み、言葉どおり「つくる」「物をこしらえる」という意味を持ちます。したがって「既製」は「すでにつくられた物」という意味になります。

「既製」は一見「既成」と同じ意味のように思われますが、「既製」は、主に洋服や家具など、形のある製品や物に対して使われることが多く、物理的に存在する物品や製品に対して使用されます。

このように「既成」「既製」はどちらも「すでにできている」という意味を持つ言葉ですが、使われる場面やニュアンスが異なります。形のない概念や事実を表したい場合は「既成」、形のある製品や物、具体的なものを表したい場合は「既製」と使い分けることができます。