「固辞」と「固持」の意味と違い
「固辞」と「固持」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。
そのニュアンスや使い方には微妙な違いがあるので、混同しないようにそれぞれの意味をしっかりと把握しましょう。
本記事ではその「固辞」と「固持」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「固辞」

「固辞」は「かたく辞退すること」「どんなことがあっても受けるわけにはいかないと辞退すること」という意味を持ちます。
「固辞」の「固」は「かたい」「かたくな」「しっかり」という意味があり、「辞」は「やめる」「ことわる」「しりぞく」という意味があります。
したがって「固辞」は、「かたく辞退すること」すなわち「どんなことがあっても受けるわけにはいかないと辞退すること」という意味になります。
「固辞」は「与えられた仕事を固辞し続けている」「彼は市長への就任を固辞したらしい」「部長への昇進の申し出を固辞した」のように使われ、「固辞」の類義語としては、「辞退」「遠慮」「謝絶」「辞謝」などが挙げられます。
このように、「固辞」は、「他人から何かを勧められてもかたく辞退すること」を表す言葉であり、断る姿勢を貫くときに使用されます。
「かたく辞退する」と書くと「強く断る」という意味だと捉える人もいるかもしれませんが、「固辞」が表すのは「硬い辞退」なので、丁寧に辞退する場面で用いられることが多いです。
「固持」

「固持」は、「自分の意見や考えをかたく守って変えないこと」「周りからの影響によって変えることなく、自分の意見や考えを持ち続けること」という意味を持ちます。
「固持」の「固」は上述の通り「かたい」「かたくな」「しっかり」という意味があり、「持」は「もつ」「まもる」「たもつ」という意味があります。
したがって「固持」は、「かたく持つ」すなわち「周りからの影響によって変えることなく、自分の意見や考えを持ち続けること」という意味になります。
このように「固持」は、自分の主張や意見などを他からの影響にも曲げることなく持ち続けるときに使用され、固い意志を表す言葉であると覚えておきましょう。
以上のように「固辞」は、「どんなことがあっても受けるわけにはいかないと辞退すること」という意味があり、断る姿勢を貫くときに使用されます。
一方「固持」は「周りからの影響によって変えることなく、自分の意見や考えを持ち続けること」という意味があり、固い意志を表す言葉です。
記事の参考文献
- 編 山田忠雄、柴田武、酒井憲二、倉持保男、山田明雄、上野善道、井島正博、笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 著 北原 保雄(2011-2019)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 編 新村出 (2018,2019)『広辞苑』第七版, 岩波書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月7日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月7日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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