「強硬」「強攻」「強行」の意味と違い
「強硬」「強攻」「強行」はすべて「きょうこう」と読みます。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どの「きょうこう」を使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
本記事では、「強硬」「強攻」「強行」の意味や使い分けについて解説していきます。違いを理解し、ぜひ自信を持って使い分けられるようになりましょう。
「強硬」
「強硬」は「強い態度で自分の考えを曲げないこと」「手強いさま」という意味があります。類語に「頑固」が挙げられます。
「強硬に主張する」「強硬な態度を示す」「政府の強硬な姿勢」などのように使われます。
「強硬」の「強」は訓読みで「つよい」と読み、「力や勢いがある」「固く丈夫」「つよい」という意味を持ちます。「硬」は訓読みで「かたい」と読み、「こわばっている」「かたくな」という意味を持ちます。
したがって「強硬」は「強い態度でかたくなであること」という意味になります。
「強硬」は強い意志や断固とした態度を示し、他と妥協しない立場を取ることを強調する際に使われます。
「強い態度・譲らない姿勢」という点で「強硬」と共通していますが、「攻撃すること・攻めること」に重点を置いた場合は下述する「強攻」が使われます。
「強攻」
「強攻」は「多少の危険や不利を顧みず、無理を押して攻めること」という意味があります。類語に「先攻」「後攻」「速攻」が挙げられます。
「相手チームに強攻をしかける」「強攻突破を試みる」「強攻策で大量得点」などのように使われます。
「強攻」の「強」は上述したとおり、「つよい」と読み、「力や勢いがある」「固く丈夫」「強い」という意味を持ちます。「攻」は訓読みで「せめる」と読み、「攻める」「敵をうつ」という意味を持ちます。
したがって「強攻」は「力や勢いで攻める」という意味になります。
「強攻」は、力を用いて強引に攻撃することを指します。特にスポーツや軍事、競技などを表現する文で使われ、直接的な力を使って積極的に攻撃を仕掛けることを表す言葉になります。
「無理をして進める」という点で「強攻」と共通していますが、「実行すること」に重点を置いた場合は下述する「強行」が使われます。
「強行」
「強行」は「障害、困難、反対を押し切って強引にものごとを行うこと」という意味があります。類語に「決行」「断行」「敢行」などが挙げられます。
「強行突破」「計画を強行する」「試合を強行する」「ストライキを強行する」などのように使われます。
「強行」の「強」は上述したとおり、「つよい」と読み、「力や勢いがある」「固く丈夫」「強い」という意味を持ちます。「行」は訓読みで「おこなう」と読み、「おこなう」「ふるまう」「おこなわれる」「おこない」「やる」という意味を持ちます。
したがって「強行」は「力や勢いで行う」という意味になります。
「強行」は反対や障害があっても、強引に物事を実施することを意味します。状況や周囲の反対意見を考慮せず、強引に計画を進めたり実行することを表現する言葉になります。
また、法律用語としても使用され、「強行法規」は当事者の意思に関わらず適用される規定を指します。
このように「強硬」「強攻」「強行」は、いずれも「強い意志や態度で物事を行う」という点で共通していますが、意味やニュアンスが異なります。
「譲らない強い態度」を示す場合「強硬」、「無理を押して攻めること」を示す場合「強攻」、無理やり強引に実行すること」を示す場合「強行」と使い分けが可能です。
文脈にあった言葉を適切に使うことが重要です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月29日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月29日).
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