「明記」と「銘記」の意味と違い
「明記」と「銘記」は、いずれも「めいき」と読み、「記録や記述に関すること」という共通点はありますが、それぞれの意味と使われ方には違いがあります。
日常生活やビジネスシーンなどでよく見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「明記」と「銘記」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「明記」

「明記」は、「はっきりと書くこと」という意味を持ちます。
「明記」の「明」は、「明るい」「あきらか」「はっきりしている」の意味があり、「記」は、「しるす」「書き留める」「心に留める」という意味があります。
したがって「明記」は、「はっきりと記すこと」すなわち「はっきりと書くこと」という意味になります。
なお、「明記」の類義語は、「明示」「特筆」「特記」「大書」などが挙げられ、「明記」は「申請用紙には、氏名と住所を明記すること」「契約書には、条件と双方の責任が明記されている」「取扱説明書には、注意事項が明記されている」のように使われます。
「明記」は、書類や文書などにはっきりと記述すること、明確に書き示すことを意味し、後から誰でも理解できるように、はっきりと分かりやすく書くこと、また、後から誤解が生じないように明確に書くというニュアンスを持っています。
なお「明記」は、絶対的に必要である情報を省略することなく、曖昧さを排除してはっきりと明瞭に、具体的な事柄を詳しく書き記すことにより、誤解や混乱を防ぎ、必要な情報を的確に伝えることが出来ます。
「銘記」
「銘記」は、「しっかりと心に刻みこんで忘れないこと」や「石碑や金属器などに刻みつけた文字や文章」という意味を持ちます。
「銘記」の「銘」は、「きざむ」「金属や石碑などに名を刻む」「深く心に刻む」という意味があり、「記」は上述のとおり、「しるす」「書き留める」「心に留める」という意味があります。
したがって「銘記」は、「心に深く刻み、書き留める」すなわち「しっかりと心に刻みこんで忘れないこと」という意味になります。
なお「銘記」の類義語は、「心に刻む」「肝に銘じる」「銘肝(めいかん)」などがあり、「銘記」は、「今回の教訓を銘記し、今後の行動に活かします」「偉人の言葉は、銘記すべきである」「歴史的な出来事を銘記するため、記念碑が建てられた」のように使われます。
「銘記」は、心に深く刻みつけて忘れないこと、肝に銘じるという意味を持ち、ある物事を強く印象づけて心に留めて置くことを表します。
何かの教訓や感銘を受けた言葉、ある物事や出来事を記憶に留めて忘れないことを強調しています。
また「銘記」には、「石碑や金属器などに刻みつけた文字や文章」という意味がありますが、日常生活で使われることは稀で、「金属に名を刻む」をいう動作から転じて、思い出を刻み込む行為や心に刻み込みたい記憶の意味で使われています。
以上のように「明記」は、「はっきりと書くこと」という意味を持ち、物理的に書き記すことに重点を置き、文書などに文字を書き残すことを指しています。
一方「銘記」は、「しっかりと心に刻みこんで忘れないこと」という意味を持ち、心に留めることに重点を置き、刻み込む対象は必ずしも紙などに限らず、主に自分の心となります。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月20日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月20日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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