「内蔵」「内臓」の意味と違い
「内蔵」と「内臓」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。これらの言葉には、どのような違いがあるのでしょうか。日常の様々なシーンで多く使われていますので、正しい意味を確認しておきましょう。
本記事ではその「内蔵」と「内臓」の意味と違いを深掘りし、用例などを交え、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。
「内蔵」
「内臓」は、「その内部に持っていること」「その内部におさめ持っていること」という意味を持ちます。
「内蔵」の類義語としては、「内包」「内在」「組み込み」などがあります。
「内蔵」の「内」は、「ある範囲のうちがわ」「表向きでない」「うちうちの」「おさめる」という意味を持ち、「蔵」は「中にしまっておく」「隠して表にあらわさない」という意味を持ちます。
したがって「内蔵」は、「その内部におさめ持っていること」すなわち「あるものの内部に収められているもの」という意味になります。
主として機械や装置、製品などの内部に組み込まれているパーツを指し、「高性能なカメラが内蔵されている」「大容量のハードディスクが内蔵されている」のように使われます。
また、物理的なものだけでなく、「機能内蔵」や「音源内蔵」など、ソフトウェアやシステムの機能が「内部に組み込まれている」という意味でも使われています。
さらに、物事の内にある事柄など「内に秘められていること」を表す際にも「内蔵」は使われ、「文明の発展は、様々な危険を内蔵している」のように使われます。
「内臓」
「内臓」は、「動物のからだの中にある諸器官」「動物の胸腔や腹腔にある器官の総称」を意味します。通常、腹腔内にある胃・腸・肝臓・腎臓・膵臓などを言います。
「内臓脂肪を減らす努力をする」「魚の内臓を上手に取り除く」「それぞれの内臓の機能を理解する」のように使われます。
「内臓」の類義語としては、「臓(はらわた)」「臓器」「五臓六腑」などがあります。
俗に言われる「五臓六腑」は東洋医学の概念であり、「五臓六腑に染み渡る」はその慣用句です。
「内臓」の「内」は上述のように「ある範囲のうちがわ」の意味を持ち、「臓」は「はらわた」「動物の体内にある諸器官」という意味を持ちます。
したがって「内臓」は、「動物のからだの中にある器官の総称」という意味になります。
なお現代の解剖学では、「内臓」は、循環器・消化器・呼吸器・泌尿生殖器・内分泌器に限られ、脳や心臓は「内臓」ではないとされています。
以上のように「内蔵」と「内臓」は「その内部に収められているもの」の対象が違います。「内蔵」は主として機械や装置、製品などに関連し、「内臓」は人や動物のからだに関係します。
「月(にくづき)」があれば、「生物の体に関連する」言葉を意味します。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月15日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月15日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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