「温和」「穏和」の意味と違い
「温和」と「穏和」。これらは同じ読み方でも意味が異なる「同音異義語」です。他にも「創造・想像」や「意義・異議」などがあります。これらは意味を混同しやすく、文章を書く際に、どちらを使うべきか頭を悩ませた経験があるかもしれません。
この記事では、「温和」「穏和」の意味、違いを掘り下げ、具体的な使用例を交えながら、効果的な使い分けを解説します。
「温和」
「温和」は「気候があたたかでおだやかな様」「性質がおだやかなこと」を指す言葉です。「温和な土地に暮らす」「彼女は温和な性格で、誰とでも仲良くできる」「この土地の気候は温和である」などのように使われます。
「温和」の「温」は訓読みで「あたたかい」「ぬくい」と読み、「あたたかい」「おだやか」「やさしい」という意味を持ちます。「和」は「なごむ」「なごやか」「やわらぐ」と読み、「やわらぐ」「おだやか」「のどか」「ゆったりとして角立たない」という意味を持ちます。
したがって「温和」は「(気候が)あたたかくおだやか」「(性質が)おだやか」「ゆったりとして角が立たない」という意味になります。
「温和」は特に、性格や態度が柔らかく、優しく穏やかであることを指します。人の性格や人柄について使われることが多い言葉です。また気候などが厳しくなく、穏やかな状態であることを表す場合もこちらの「温和」が使われます。
一方「穏和」は、一部「温和」と意味が重なる部分がありますが、ニュアンスが若干異なります。
「穏和」
「穏和」は「性質などがおだやかでおとなしい様」「おだやかでことを荒立てないこと」を指す言葉です。「彼女は穏和な人柄で、周囲の人々を和ませる」「穏和な解決法を探る」「穏和な言い回しを用いて、相手の気分を害さないよう配慮する」などのように使われます。
「穏和」の「穏」は「おだやか」「やすらか」と読み、「落ち着いている」「おだやか」という意味を持ちます。「和」は上述したとおりなので、「穏和」は「(性質が)おだやかで落ち着いている」「おだやかで角立たない」という意味になります。
「穏和」は主に、状況や状態が静かで落ち着いていることを意味します。人の態度についても使うことがありますが、主に状況や環境について使われることが一般的です。「温和」と違い、「穏和」は気候を表現するのには使用されません。
以上のように、「温和」はより広い意味で使用でき、特に気候についても表現できる点が「穏和」との大きな違いとなっています。
性質や物事の状態を表現する際には、「温和」「穏和」ともに使用することが可能です。新聞紙面では、「温和」という表現に統一されているので、覚えておくと便利です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月2日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月2日).
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