「令状」と「礼状」の意味と違い
「令状」と「礼状」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。
そのニュアンスや使い方には微妙な違いがあるので、混同しないようにそれぞれの意味をしっかりと把握しましょう。
本記事ではその「令状」と「礼状」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「令状」

「令状」は「強制処分の判決・決定・命令を記載した裁判書」「警察などが逮捕などの強制処分をするときに裁判所が出す許可書」という意味を持ちます。
「令状」の「令」は「いいつける」「いいつけ」「命じる」という意味があり、「状」は「かきつけ」「手紙」という意味があります。
したがって「令状」は、漢字だけで考えると、「命じるかきつけ」という意味になります。
しかし実際は、「警察などが逮捕などの強制処分をするときに裁判所が出す許可書」という意味で使われるので、若干の相違がある点に注意が必要です。
「令状」は「拘束令状の執行妨害で立件された」「逮捕令状には複数の条件がある」「人権侵害の防止のために令状主義は必要だ」のように用いられます。
このように、「令状」は、裁判官が捜査の方法や範囲を定めて認める許可状を指す言葉で、「令状」には逮捕状・差し押さえ状、捜索状など多くの種類があり、数え方ですは「一通」です。
なお司法警察職員の隠語では、「令状」を総称して、また逮捕状の意味で「フダ(札)」と呼ばれます。
「礼状」

「礼状」は、「お礼のお手紙」「感謝の意を記した書状」という意味を持ちます。
「礼状」の「礼」は「感謝の気持ち」「うやまう」「敬意をはらう」という意味があり、「状」は上述の通り「かきつけ」「手紙」という意味があります。
したがって「礼状」は、「お礼のお手紙」「感謝の意を記した書状」という意味になります。
「礼状」は「お世話になった方へのお礼状を送ろう」「彼はお見舞いのお礼状を送ってくれた」「お歳暮へのお礼状を送った」のように用いられます。
このように「礼状」は、感謝の気持ちを伝えたい時に送る手紙を指す言葉で、贈り物やお祝いをもらったときや冠婚葬祭に参列してもらったときなど、様々な場面で「礼状」を送る必要があります。
また、「礼状」は上司や先輩、クライアントなど目上の方に出すことが多いですが、同僚や友人、後輩に出しても問題ありません。
以上のように「令状」は、「警察などが逮捕などの強制処分をするときに裁判所が出す許可書」という意味があり、「令状」には逮捕状・差し押さえ状、捜索状など多くの種類があります。
一方「礼状」は「お礼のお手紙」という意味があり、贈り物やお祝いをもらったときや冠婚葬祭に参列してもらったときなど、様々な場面で「礼状」を送る必要があります。
記事の参考文献
- 編 山田忠雄、柴田武、酒井憲二、倉持保男、山田明雄、上野善道、井島正博、笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 著 北原 保雄(2011-2019)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 編 新村出 (2018,2019)『広辞苑』第七版, 岩波書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月22日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月22日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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