「清算」「精算」の意味と違い
「清算」と「精算」は読みが同じで、お互いの類義語として挙げられている言葉で、お金に関する意味ですが、意味や使い方が異なります。
「清算」も「精算」も日常で使うことが多く、使い分けが難しく間違いやすい言葉ですので、今回は、「清算」と「精算」の意味の違いと使い分け方についてお話ししたいと思います。
「清算」
「清算」には、大きく分けて3つの意味があります。
①お金の貸し借りなどをしている者の間で債権や債務を整理して支払いを済ませること。「借金をすべて清算する」というと、抱えている借金を整理して完済することを表わします。
②法人が解散する際、後始末をするために財産関係を整理すること。「赤字の会社を清算した」や「清算会計」などのように表現します。
③今までの良くない関係や事柄を断つこと。「過去の過ちを清算して一から出直す」などのように使います。
「清算」の「清」の字には、「きよい」や「きよらか」という意味以外に「整理する」「始末する」という意味もあります。借金や過去の事柄を整理してさっぱりと始末するという意味で「清算」には「清」の字が使われているのです。
一方「精算」は、同じ「せいさん」と読みますが、意味が異なります。
「精算」
「精算」には、「金額や費用を細かく計算し直すこと」「料金の過不足を計算し直すこと」という意味があります。「乗り越し料金を精算する」などのように使われます。
「精算」の対義語は「概算」で、「概算」は大まかに計算された数量や金額のことをいいます。それに対して「精算」は、細かく計算し直された数量や金額を意味するのです。
「精算」の「精」の字には、「まじりけがない」や「きよい」のほかに、「くわしい」や「こまかい」という意味もあります。ある物事について詳しく知っているという意味の「精通」や、細かい点まで正確であるという意味の「精密」にも「精」の字が使われています。
上記のように、借金やよくない関係をさっぱり整理する場合は「清」の字が使われている「清算」、料金を計算し直す場合は「くわしい」や「こまかい」の意味を持つ「精」が使われている「精算」を使います。
記事の参考文献
- 編 金田一京助 編集代表 深谷圭助(2015) 『例解学習 国語辞典』第十版 小学館
- 編 藤堂明保 編集代表 深谷圭助(2014)『例解学習 漢字辞典』第八版 小学館
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年9月22日).
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編 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版.三省堂.
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編著 北原保雄 (2010)『明鏡国語辞典』第二版, 大修館書店
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編 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之 (2011)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
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