「窃取」と「窃盗」の意味と違い
「窃取」と「窃盗」は、どちらも「他人の物を盗む」という意味を持つ言葉ですが、使われる場面や言葉のニュアンスには違いがあります。
日常生活でも耳にする「窃盗」と、法律用語として登場する「窃取」。どちらも類似した内容を指す言葉でありながら、具体的にどう違うのか、なかなか説明できる人は少ないのではないでしょうか。
本記事では「窃取」と「窃盗」の意味や用例をもとに、言葉の使い分けポイントについて詳しく解説していきます。
「窃取」

「窃取(せっしゅ)」は、「他人の財物をこっそり盗み取ること」を意味します。
「窃」の文字には「こっそり」「人に気づかれないように」という意味があり、「取」は「取る」「手に入れる」という意味があります。
この二字が合わさることで、「窃取」は「他人の物を人に気づかれないように盗み出すこと」という意味合いになります。
なお「窃取」の類義語は「盗取」「奪取」などが挙げられ「窃盗罪の構成要件にある『窃取』とは、他人の財物を故意に、かつ無断で占有することを指す」「犯人が現金を窃取した証拠が押収された」などのように使われます。
「窃取」とは、法律用語であり、刑法上の犯罪構成において重要な意味を持つ言葉です。
一般にはあまり使われることはありませんが、「窃盗罪」や「横領罪」などの法的表現の中に組み込まれている用語で、裁判所の判決文や法律文書、法学の教科書などでは頻出します。
あくまで「こっそり盗む行為」に限定されていることがポイントであり、暴力や脅迫などを伴わず、静かに他人の財物を持ち去る行為を対象としています。
「窃盗」

「窃盗(せっとう)」とは、「他人の金品や財物などを盗むこと」を意味する言葉です。
刑法235条に規定されている「窃盗罪」の罪名として知られており、「窃盗犯」「万引きは窃盗に当たる」など、日常のニュースや会話でもよく目にします。
「窃盗」は日常語にもなっており、警察発表や報道などでも多用されるため、比較的多くの人にとって馴染みのある言葉です。
「窃盗」の類義語には「盗み」「泥棒」「万引き」などがあり、「この地域では最近、窃盗事件が頻発している」「彼は自宅に侵入し、現金を窃盗した容疑で逮捕された」「防犯カメラには、犯人が窃盗する瞬間が映っていた」のように使われます。
「窃盗」とは、法律用語であると同時に、一般にも広く使われる犯罪名です。
特徴的なのは、対象となるのが「動産(移動可能な物)」である点と、他人の占有下にある物を「不法に取得」することが要件であるということです。
また、「暴力や脅迫などを用いずに」盗む点が、強盗罪などとの大きな違いになります。
現実的には、万引きや置き引き、空き巣などが窃盗にあたります。
「窃取」と「窃盗」はどちらも「他人の物を盗む行為」に関する言葉ですが、使われる文脈や用途に明確な違いがあります。
「窃取」は、法律用語として用いられ、「他人の財物をこっそり盗み出す」という行為を指す動作そのものを表します。
刑法の条文などでは「他人の財物を窃取した者は…」という形で登場します。
一方、「窃盗」は、その窃取という行為に対する罪名であり、日常でも用いられる用語です。
「窃盗事件」「窃盗罪」「窃盗犯」など、犯罪名や行為の総称として用いられます。
つまり、「窃取」は動作、「窃盗」はその行為に対する法的な名前や分類と言えます。
実際の会話や文書で使用する場合には、「窃盗」の方が圧倒的に多く、「窃取」は法律の専門的な文脈でのみ登場する言葉と言えるでしょう。
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