「士気」と「志気」の意味と違い

「士気」と「志気」の意味と違い

「士気」と「志気」の意味と違い

士気」と「志気」は、いずれも「しき」と読み、「物事を成そうとする気持ち」という共通点はありますが、それぞれの意味と使われる場面や目的には違いがあります。

日常生活やビジネスシーンなどでよく見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事ではその「士気」と「志気」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。

紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。

「士気」

「士気」とは

士気」は、「戦いに臨む兵士の意気込み」や「集団で事に臨む人々の意気込み・熱意」という意味を持ちます。

士気」の「士」は、「成人した男子」「侍(さむらい)」「軍人」の意味があり、「気」は、「様子」「意識」「心の働き」という意味があります。

したがって「士気」は、「兵士の張りきる気持ち」すなわち「戦いに臨む兵士の意気込み」また、一般には「集団で事に臨む人々の意気込み・熱意」という意味になります。

なお、「士気」の類義語は、「意気」「意気込み」「気勢」「志気」などが挙げられ、「士気」は「士気の低下が業績に影響を及ぼしている」「キャプテンの一言で、チーム全体の士気が大いに高まった」「上司の激励の言葉が、部下たちの士気を向上させた」のように使われます。

士気」とは、「兵士・軍隊が戦いをしようとする時の集団的な意気込み」という、元々の意味から転じて「大勢の人々が、団結して何かを成し遂げようとする意気込み」という意味として使われ、単独でなく複数の人たちが、力を合わせて物事を成し遂げるニュアンスを持っています。

さらに「士気」は、組織内のメンバーが共通の目標や価値観を持ち、その達成に向けて協力し合うことの意味合いを持ちます。

そして軍隊や企業、スポーツチームなどで団結して何かを行うときの「やる気・意欲」を表現する際に使われます。

「志気」

「志気」とは

志気」は、「ある物事を行おうとする意気込み」という意味を持ちます。

志気」の「志」は、「こころざし」「心の目指すところ」という意味があり、「気」は上述のとおり、「様子」「意識」「心の働き」という意味があります。

したがって「志気」は、「物事をしようとする気持ち」すなわち「ある物事を行おうとする意気込み」という意味になります。

なお「志気」の類義語は、「意気」「意気込み」「気概」「士気」などがあり、「志気」は「偉人たちは強い志気を持ち、信念を貫いた」「志気ある若者が社会を変える原動力になる」「明確な目標と強い意志が、志気を高める」のように使われます。

志気」は、物事全般に対し、その目的を達成しようとする意気込みを意味し、志や目標に向かって努力する意欲や気持ちを指し、人々が自己実現や目標達成のために持つ決意を表現しています。

また「志気」は、個人でも集団の場合でも使うことができますが、個人レベルの意気込みの意味合いが強いとされ自分自身の目標や理想の実現に向かって情熱を傾けることを指します。

ただ「志気」という言葉は、古い表現で、いわゆる文章内で使われる言葉、すなわち文語的な言葉であることから、現在ではほぼ使われていません。

以上のように「士気」は、「集団で事に臨む人々の意気込み・熱意」という意味を持ち、集団全体の意欲や気持ちを示し、物事の達成に向けて協力し合う団体のやる気や意欲を表現する際に使われます。

一方「志気」は、「ある物事を行おうとする意気込み」という意味を持ち、一般に個人の意欲や目標に向かう気持ちを表し、自己実現のために持つ意志や決意を表す際に使われます。

なお、上述のとおり「志気」は、文語的な表現とされ、現在ではほとんど使われておらず、「士気」と「志気」は、似ている意味のため、新聞などのメディアでは「士気」で統一されています。

そのため「士気」と「志気」の使い分けで迷った場合は「士気」を使用するのが無難です。

記事の参考文献

  • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
  • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
  • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月6日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月6日).
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.



北澤篤史サイト責任者

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