「試問」「諮問」の意味と違い
「試問」と「諮問」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。
そのニュアンスや使い方には微妙な違いがあるので、混同しないようにそれぞれの意味をしっかりと把握しましょう。
本記事ではその「試問」と「諮問」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。
ぜひ参考にしてみてください。
「試問」
「試問」は「問題を出して学力や能力を試験すること」「試験の一環として質問すること」という意味を持ちます。
「試問」の類義語としては、「試験」「考査」「考試」「策問」などが挙げられます。
「試問」の「試」は「ためす」「こころみる」「しらべる」の意味を持ち、「問」は「とう、といただす」「たずねる」という意味を持ちます。
したがって「試問」は、「試して問う」すなわち「問題を出して学力や能力を試験すること」という意味を持ちます。
「次の選考では口頭試問が行われる」「現在の知識を確かめる試問が行われた」「最終面接では時事問題についても試問される」のように使われます。
なお上述の口頭試問というのは学力や専門的知識などを確認するための試験方法で、試験管と受験者の質疑応答で行われ、「試問」は「試験」という言葉の古風表現としても使われます。
「諮問」
「諮問」は、「下の者や有識者に意見を求めること」「特定の機関などに専門的な見解を尋ねること」という意味を持ちます。
「諮問」の類義語としては、「相談」「喚問」「照会」などが挙げられます。
「諮問」の「諮」は「はかる」「とう」「上の人が下の者にたずねる」の意味を持ち、「問」は上述の通り、「とう、といただす」「たずねる」という意味を持ちます。
したがって「諮問」は、「下の者に尋ねる」すなわち「下の者や有識者に意見を求めること」という意味になります。
「専門委員会に諮問する」「諮問機関のメンバーになることは難しい」「諮問会議の準備を行う」のように使われます。
「諮問」は、重要事項の決定や問題解決のために意見を求めるので、有識者や特定の機関などに対して用いられます。
以上のように「試問」は、「問題を出して学力や能力を試験すること」という意味があり、実力や能力が試されるテストや面接といった場面で用いられます。
一方「諮問」は、「下の者や有識者に意見を求めること」という意味があり、重要事項の決定や問題解決のために行われます。
記事の参考文献
- 編 山田忠雄、柴田武、酒井憲二、倉持保男、山田明雄、上野善道、井島正博、笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
- 著 北原 保雄(2011-2019)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 編 新村出 (2018,2019)『広辞苑』第七版, 岩波書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月27日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月27日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
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