「終始」と「終止」の意味と違い

「終始」と「終止」の意味と違い

「終始」と「終止」の意味と違い

終始」と「終止」は、いずれも「しゅうし」と読み、「終わりに関すること」という共通点はありますが、それぞれの意味と使われ方には違いがあります。

日常生活などでよく見聞きしますが、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事ではその「終始」と「終止」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。

紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。

「終始」

「終始」とは

終始」は、「始めから終わりまで、同じ態度・状態を続けること」や「始めから終わりまで、その間ずっと」という意味を持ちます。

終始」の「終」は、「終わる」「終わりまで」の意味があり、「始」は、「はじめ」「始まる」という意味があります。

したがって「終始」は、「物事の始めから終わりまで」すなわち「始めから終わりまで、同じ態度・状態を続けること」という意味になります。

なお、「終始」の類義語は、「経緯」「経過」「一貫」「始終」などが挙げられ、「終始」は「彼女は終始落ち着いて対応した」「彼はあいまいな答弁に終始していた」「試合は終始相手チームが優勢だった」のように使われます。

終始」とは、上述のように基本的に一定の期間中、始めの状態や態度が最後まで常に同じ状態で続く様子を表す言葉で、すでに終了した事柄について、終点から始点を振り返るニュアンスがあります。

なお「終始」は、「始めから終わりまで、同じ態度・状態を続けること」という意味では、「彼は自己弁護に終始する」のように多くは「動詞」として使われます。

また「終始」は、「始めから終わりまでその間ずっと」という意味では、「彼女は終始笑顔だった」のように多くは「副詞」として使われます。

「終止」

「終止」とは

終止」は、「終わりにすること、終わること」という意味を持ちます。

終止」の「終」は上述のとおり、「終わる」「終わりまで」という意味があり、「止」は、「とまる」「やめる」「活動をやめる」という意味があります。

したがって「終止」は、「終わりにすること、終わること」という意味になります。

なお「終止」の類義語は、「終了」「終焉」「完了」などがあり、「終止」は、「彼らの話し合いは突然終止した」「この音楽は美しい和音の終止形で終わる」「彼女との関係に終止符を打つことにした」のように使われます。

終止」は、物事が終わるという意味で、動作や状態などが完全に終了することを表し、その意味合いは様々な分野に広がりますが、「終止」単体で使う機会はあまりなく、「物事の終わり、決着、結末」という意味の「終止符」という言い方がメジャーです。

また「終止」は、「楽曲・楽章などの終わりの部分で、終止感を表す定型的な和音の進行部分」という意味もあり、わかりやすく言うと「楽曲の終わり部分で、いかにも終わりに近づいたと思わせる定型的な音づかい」という意味で、音楽用語として使われます。

以上のように「終始」は、「始めから終わりまで、同じ態度・状態を続けること」という意味を持ち、主として一定の期間中に最初から最後まで、常にずっと同じ状態が続く様子を表します。

一方「終止」は、「終わりにすること、終わること」という意味を持ち、物事が完全に終わること、終了することを指します。

記事の参考文献

  • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
  • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
  • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月12日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月12日).
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.



北澤篤史サイト責任者

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