「収容」と「収用」の意味と違い

「収容」と「収用」の意味と違い

「収容」と「収用」の意味と違い

収容」と「収用」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。

そのニュアンスや使い方には微妙な違いがあるので、混同しないようにそれぞれの意味をしっかりと把握しましょう。

本記事ではその「収容」と「収用」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。

紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。

「収容」

「収容」とは

収容」は「人や物を一定の場所や施設におさめ入れること」「人や物などを受け入れ、面倒を見たり管理すること」という意味を持ちます。

収容」の「収」は「おさめる」「あつめる」「まとめる」という意味があり、「容」は「いれる」「器にいれる」「おさめる」という意味があります。

したがって「収容」は、漢字だけから考えると「収めいれる」という意味になります。

しかし、実際には「人や物を一定の場所や施設におさめ入れること」という意味で使われるので、若干の相違がある点に注意が必要です。

収容」は「被災者を避難所に収容する」「届いた荷物を倉庫に収容する」「ここは2万人を収容できるほど大きな会場です」のように用いられ、「収容」の類義語としては、「収納」「格納」「保管」などが挙げられます。

このように、「収容」は、一時的な措置として人や物を収めいれることを表す言葉です。

後述する「収用」と比較すると、「収容」は保管や保護を目的に用いられ、基本的には「収容」という行為に法的な手続きは必要ありません。

ただ「収容」には「法令により刑事施設に入れること」という意味もあり、例えば他国籍者で在留資格がない人、不法滞在、不法入国の人などを収容施設に入れる際などに使われ、もちろん法的な手続きが必要となります。

「収用」

「収用」とは

収用」は、「取り上げて使うこと」「国家が特定物件の所有権を取り上げて、公共の用に使うこと」という意味を持ちます。

収用」の「収」は上述の通り「おさめる」「あつめる」「まとめる」という意味があり、「用」は「もちいる」「つかう」「役立てる」という意味があります。

したがって「収用」は、漢字だけから考えると、「あつめてつかう」という意味になります。

しかし、実際には「国家が特定物件の所有権を取り上げて、公共の用に使うこと」という意味で使われるので、若干の相違がある点に注意が必要です。

収用」は「土地を収用する」「公共事業のために建物を収用する」「高速道路の建設のために土地を強制収用された」のように用いられ、「収用」の類義語としては、「剥奪」「徴収」「追放」などが挙げられます。

このように「収用」は、「特定物件を公共目的で強制的に取得し用いること」を表す言葉です。

収容」とは意味が大きく異なり、「収用」は国や地方公共団体などが、公共事業のために必要となる土地などを土地収用法という法律に基づき、所得します。

以上のように「収容」は、「人や物を一定の場所や施設におさめ入れること」という意味があり、人や物を一時的に保護・保管することを目的に用いられ、基本的には法的な手続きが不要ですが、意味によっては法的手続きを要します。

一方「収用」は国家が特定物件の所有権を取り上げて、公共の用に使うこと」という意味があり、公共利用を目的に土地が「収用」されますが、土地収用法に基づいた、法的な手続きが必要となります。

記事の参考文献

  • 編 山田忠雄、柴田武、酒井憲二、倉持保男、山田明雄、上野善道、井島正博、笹原宏之 (2012)『新明解国語辞典』第七版, 三省堂.
  • 著 北原 保雄(2011-2019)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 編 新村出 (2018,2019)『広辞苑』第七版, 岩波書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2025年2月12日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2025年2月12日).
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.



北澤篤史サイト責任者

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