「大群」「大軍」の意味と違い
「大群」と「大軍」は、いずれも「たいぐん」と読み、「形・数量・規模などが大きいこと」という共通点はありますが、それぞれの意味は微妙に異なります。
日常生活でも多く使われていますが、どのような違いがあるのでしょうか。
本記事ではその「大群」と「大軍」の意味と違いを深掘りし、用例などを通じて、使い分けのポイントについて解説していきます。
紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がりますので、ぜひ参考にしてみてください。
「大群」
「大群」は、「動物などがたくさん集まった大きな群れ」という意味を持ちます。
「大群」の「大」は、「形や規模が大きい」「数や量が大きい」の意味を持ち、「群」は、「むらがる」「数多く集まる」という意味を持ちます。
したがって「大群」は、「数多く集まって作る群れ」すなわち「動物などがたくさん集まった大きな群れ」という意味になります。
「イナゴの大群による農作物の被害に困惑する」「イワシの大群が海を泳いでいる」「鳥の大群が一斉に飛び立った」のように使われます。
自然界では、動物などが個別に行動しながらも、群れ全体として共通の動きを見せることが多く、生存や繁殖などを目的に集まって群れを形成しています。
「大群」は主に動物や昆虫などが、非常に多く集まって形成する集団に対して使われますが、自然の中だけでなく、「観光客の大群がテーマパークに押し寄せる」のように人々の集まりを表す際にも用いられます。
「大軍」
「大軍」は、「大勢の兵士からなる軍隊」という意味を持ちます。
「大軍」の「大」は、上述のとおり「形や規模が大きい」「数や量が大きい」の意味を持ち、「軍」は「いくさ」「兵士の集団」「戦うための組織」という意味を持ちます。
したがって「大軍」は、「大勢の兵士の集団」すなわち「大勢の兵士からなる軍隊」という意味になります。
「大軍が国境を越えて押し寄せてくる」「大軍を率いるのは、経験豊富な指揮官だ」「大軍に対抗するための戦略を練る」のように使われます。
「大軍」は、人間が組織的に行動する戦闘部隊を指し、指揮官の命令や方針に従い、部隊の兵士が一斉に行動します。
また「大軍」は、多くの人々を「軍」に例えて、「応援の大軍が試合会場に集結した」「会場には、大軍が押し寄せるように観客が詰めかけた」のように比喩的に使われる場合もあります。
以上のように「大群」は、多くの人々や動物などの集まりを意味し、集まっている様子や状態を表す際に使われます。
一方「大軍」は、「多くの人々」という比喩的な使い方もありますが、「大勢の兵士からなる軍隊」を意味し、「大群」の中でも戦争や戦闘に特化した集団を指します。
記事の参考文献
- 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
- 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
- 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
- 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年12月27日).
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年12月27日).
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
コメントを残す