「適用」「摘要」の意味と違い

「適用」「摘要」の意味と違い

「適用」「摘要」の意味と違い

「適用」と「摘要」は、同じ読み方でも意味が異なる同音異義語です。日常、様々なシーンで見聞きすることがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

本記事ではその「適用」と「摘要」の意味と違いを深掘りし、用例などを交え、使い分けのポイントについて解説していきます。

紛らわしい言葉ですが、使い分けることができれば、表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。

「適用」

「適用」

「適用」は、「当てはまるという扱いをすること」「法律・規則・原理などを当てはめて用いること」という意味を持ちます。

「台風被害に災害救助法を適用する」「規則が適用される」「シニア割引が適用される」のように使われます。

「適用」の類義語としては、「応用」「施用」などがあります。

「適用」の「適」は「かなう」「ふさわしい」「ぴったり当てはまる」という意味を持ち、「用」は「もちいる」「使う」「役立てる」という意味を持ちます。

したがって「適用」は「当てはめて用いること」すなわち「法律・規則・原理などを当てはめて用いること」という意味になります。

一般的な規則や法律などが、具体的な場面でどのように用いられるかも意味しており、法令の分野では「この事故は、危険運転致死傷罪が適用されるか」などのニュースを見聞きします。

「摘要」

「摘要」

「摘要」は「重要な箇所を抜き書きすること」の意味を持ちます。

「資料に摘要をつけて提出する」「改正法案の摘要を作成する」「伝票の摘要欄への記入を徹底する」のように使われます。

「摘要」の類義語としては、「粗筋・荒筋(あらすじ)」「大筋」「概ね」などが挙げられます。

「摘要」の「摘」は、「つまむ」「つまんで取る」「かいつまんで選び出す」の意味を持ち、「要」は「かなめ」「大切なことろ」「まとめる」という意味を持ちます。

したがって「摘要」は、「大切なところをかいつまんで選び出す」すなわち「重要な箇所を抜き書きする」という意味になります。

文書などから重要な部分だけを抜き書きし、短く簡潔にまとめることを意味します。

なお会計帳簿などには、「摘要」という欄があり、それを「摘要欄」といいます。

具体的な取引内容など大切な点を記載し、誰が見ても取引の詳細を把握できるようにするためにあります。

以上のように「適用」は、ある特定の事柄について、法律・規則・原理などを当てはめ、実施や運用を図る行為を指します。

一方の「摘要」は、長文の文書やデータなどから、大切な箇所や特に重要な部分をピックアップして簡潔にまとめたものを指します。

記事の参考文献

  • 偏 松村明・三省堂編修所(2019)『大辞林』第四版,三省堂.
  • 偏 山田忠雄・柴田武・酒井憲二・倉持保男・上野善道・山田明雄・井島正博・笹原宏之(2011)『新明解国語辞典』第七版,三省堂.
  • 編著 北原保雄(2010)『明鏡国語辞典』第二版,大修館書店.
  • 小学館.「デジタル大辞泉」. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年11月11日).
  • 公益財団法人日本漢字能力検定協会.「漢字ペディア」.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年11月11日).
  • 編  一般社団法人共同通信社  (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
北澤篤史サイト運営者
1984年、大阪府生まれ。 著書 『マンガでわかる 漢字熟語の使い分け図鑑』(講談社、2024) ことわざ学会所属。ことわざ研究発表『WEB上でのことわざ探求:人々が何を知りたいのか』(ことわざ学会フォーラム、2023)