「追求」「追究」「追及」の意味と違い
「追求」「追究」「追及」はすべて「ついきゅう」と読みますが、意味が異なる言葉になります。いずれも漠然とした意味合いは知っているものの、詳しい意味や使い分けを説明するとなると、意外に難しいことに気づきます。これらの言葉にはどのような違いがあるのでしょうか。
本記事では「追求」「追究」「追及」の違いについて、深掘りしていきます。紛らわしい言葉ですが、使い分けることができると表現の幅が広がります。ぜひ参考にしてみてください。
「追求」
「追求」は「どこまでも後を追いかけ求めること」という意味があります。「幸福の追求」「利潤の追求」「成功を追求する」などのように使われます。
「追求」の「追」は訓読みで「おう」と読み、「ルートをたどって探る」「たずね求める」という意味を持ちます。「求」は「もとめる」と読み、「もとめる」「さがしもとめる」という意味を持つので、「追求」は「どこまでも追いかけ求めること」という意味になります。
「追求」は、目的や目標を達成するためや何かを手にいれるために、どこまでも追い求めることを指します。主に、自分自身のために追い求める場合、ポジティブな目標や目的を目指す状況で使われます。
「追究」
「追究」は「学問などをたずねきわめること」という意味があります。「真理を追究する」「学問を追究する」「原因を追究する」などのように使われます。
「追究」の「追」は上述の意味を持ち、「究」は「きわめる」「きわまる」と読み、「きわめる」「きわまる」「つきつめる」「きわみ」という意味を持つので、「たずねきわめる」という意味になります。
「追究」は、物事の本質・真理を深く掘り下げて調べることを指します。不明なもの、未知のことなどを解明するために、どこまでも深く調べて明らかにしようとすることを表現する際に使用されます。
「追究」という言葉を使用する際は、研究や調査の意味合いが強くなります。
「追及」
「追及」は「後から追いかけて追いつくこと」「責任などをどこまでも追い責めること」という意味があります。「余罪を追及する」「政治家の発言を追及する」などのように使われます。
「追及」の「追」は上述の意味を持ち、「及」は「およぶ」「およぼす」と読み、「ある線まで追いつく」「ある範囲まで届く」という意味を持ちます。
よって「追及」は、「たずね求め追いつく」すなわち、「追いかけて追いつくこと」などという意味になります。
「追及」は、責任や問題点をどこまでも追い詰めて問いただすことを指します。相手に対して責任を問う、追い詰める場合に使われ、厳しく問いただす、責めるという意味合いが強くなります。
以上のように「追求」「追究」「追及」は、読みは同じでも意味が異なる言葉になります。
「目標や目的などを追い求める」ことを表現する場合は「追求」、「物事の本質・真理を深く掘り下げて追い究める」ことを表現する場合は「追究」、「責任や問題点などを追いつめる」ことを表現する場合は「追及」と使い分けが可能になっています。
文脈にあった言葉を適切に選択することが重要です。
記事の参考文献
- 編 藤堂 明保・松本 昭・竹田 晃・加納 喜光・ (2001)『漢字源』改訂新版, Gakken.
- 公益財団法人日本漢字能力検定協会.『漢字ペディア』.<https://www.kanjipedia.jp/>(参照日2024年10月15日).
- 編 新村 出 (2008)『広辞苑』第六版, 岩波書店.
- 編 沖森 卓也・中村 幸弘(2015).『ベネッセ表現読解国語辞典』
- 編 一般社団法人共同通信社 (2022). 『記者ハンドブック : 新聞用字用語集』第14版,共同通信社.
- 小学館.『デジタル大辞泉』. <https://dictionary.goo.ne.jp/jn/>(参照日2024年10月15日).
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